「キャッシュトラック」

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ジェイソン・ステイサム主演、ガイ・リッチー監督作品。いやー面白かったコレ。ガイ・リッチーの作品って、主に登場人物の関係性に独特なファンタジー要素があって好きなんですが、そういう部分が微塵もなかった今回。でもむたくたに面白かったです。

現金輸送の警備を請け負う会社に入ってきた新顔がどうみても素人じゃないジェイソン・ステイサム…ってあたりで「何かある」感はぷんぷんですが、当然「何か」があり、交錯して描かれる時系列の中で彼の思惑が明らかになってくる…という筋書き。単に一人の男の復讐劇を追うだけではなくて、「現金に体を張れ」みたいな側面も描きつつなのがむちゃくちゃ効果的だった。

ステイサムだから主人公は絶対に死なない、という意味では「最後どうなるか」は見えているといえば見えているんですが、時系列を前後させて描く演出と、最後の大強奪作戦のハードさが、予定調和をぶっ飛ばしてあまりある見応えでした。「死亡フラグ」とはよく言われるけれど、実のところそれと同じぐらい「生存フラグ」ってお約束的にありますよね。こういうタイプのキャラクター、こういうことを言う(やる)キャラクターは生き残る、みたいな。しかし、そのどれもをことごとくへし折るのがすごい。そういう意味で今作にはガイ・リッチーらしい甘さがまったくない。そしてその作風を体現するステイサムの破格さよ。

スコット・イーストウッド、素晴らしかったなあ。悪い方の決断力が飛び抜けた、空虚な、アドレナリンジャンキーともまた違う、その場その場の快楽主義者を絶妙に好演してました。彼が輝いているからこそ、最後の展開にカタルシスがあるというね。いやー面白かったです!