「チ。-地球の運動について-」

原作もアニメもまったく知らない状態でしたが(話題になっているのを見て、好きな題材だな~面白そうだな~と思っていた)、そこに舞台化の一報。また版権もの!多いな最近!とは思ったものの、演出アブシャロム・ポラック、脚本長塚圭史にキャストが森山未來窪田正孝、成河、吹越満とあまりの「好きしかいない」顔ぶれにチケット取るしかなかったよね。

いやーめちゃくちゃ面白かったですね。めちゃくちゃ面白かったです。帰りの飛行機でkindleで一気読みしました原作。こちらも最高に面白かった。原作の完成度が高いがゆえに、原作ファンの方が舞台を見たら食い足りない(描写が足りない)と思う部分はあるだろうな~と思うなどしました。でも舞台を先に見ても当然のように原作の面白さは1ミリも損なわれないし、なるほどここを切り取ったかという見方もできるし、何より舞台化にあたってしっかり誰にフォーカスを当てるかという点で一貫した脚本を書いた長塚さんはかなりいい仕事をしたと言えるのでは。

舞台においては演じる役者の個性や技量、力量というものが「物語」の上に乗っかる、乗っからざるを得ないので、「誰が」やるのか、というのは当然ながら非常に重要。この点、本作はノヴァクを一つの芯に据え、そしてそのノヴァクに森山未來をあてたという点がとにかく素晴らしい。森山未來、もう聞き飽きたよと言われるのを承知で言いますがこの人の初舞台を見たということを私は未来永劫自慢するつもりです。語ってよし動いてよし歌ってもよし。マジでできないことなんもない。あのノヴァクの底冷えするようなこわさも、その恐怖の裏にあるもろさも余すところなく表現していてたまんなかったね。今回、未來くんだけじゃなく成河さんや吹越さん、身体性の強い役者を揃えた甲斐あって未來くんと成河さんのマント翻しての立ち回りとかどんな御馳走!?みたいな場面まであって滾っちゃった。

見ながら、ここは原作ではもっと書き込みがあるんだろうなと感じたのはピャスト伯とドゥラカのあたりかな~。原作読んでなるほどこれはむちゃくちゃ名シーン!ってなったし、金星のとこ、実際舞台でやるとなったら難しそうな気もするが、あまりにも名シーンなので、ここをばっさりやった長塚さん逆に勇気あるなと感心した。

人間は「考えていること」で処罰されない、行動には自由とともに公序良俗に反しないという制約があっても、内心の自由は絶対。だからこそ「知」はどこまでも広がり得る。だからこそ、「感動」は広がり得る。その人の「考えていること」が罪になり得ると信じ、手を汚してきたノヴァクが、自分が正義の側の人間ではないと知り、知って散る展開、しびれたなあ。

役者陣もほんとうに全員隙がなく素晴らしかったね。ヨレンタの三浦透子さんもよかったよなー、彼女と未來くんのダンス見惚れちゃった。成河くんの曲者役者ぶりも如何なく発揮されてたし、窪田くんのオクジーも、原作とはちょっとイメージ違うけど清廉な雰囲気が活きてて、よかった。森山未來が素晴らしいのは、もう言わずもがなです!!!あんたはマジで国の宝や!!!