何遍も何遍もビデオを見た、愛しの作品。NODA MAPで再演すると聞いたときホントにショックだった・・・。先生役を勝村さんがやるって聞いただけで泣けてきたほど。(もちろんうれし涙じゃあございません)もうあれで完成してると思うのになんでまたやるかなー・・・って。
キャストは双子に深津絵理、化け物には佐々木蔵之介や山下裕子、明星真由美等々、NODA MAPらしい一種オールスター的な顔ぶれだったんだけど、キャストが豪華になればなるほどヒネてしまうファン心理。
まあでも!セットは前の方がよかったとか舞台上で反響するドアの音は残して欲しかったとか、風呂太郎とかのキャラクターや「愛」のギャグとかを全くいじってないのは怠慢なんじゃないの野田さんとか、いろいろ言いたいことがあるにしても、鳴り響く霧笛の音が聞こえた瞬間にすべて忘れました。やっぱこの作品は凄い、誰が何をやるとか関係ないんだと思い知らされた。「別れてゆく双子が化けていたものは、孤独の果て」というこの台詞の哀しさ切なさをわからない、という人とは一緒に居れないと乱暴に言い切ってしまいたいほどです。
勝村さんはラストの長ゼリフも含め、全編にわたってものすごくいいテンションを保っていて、まったく初演に引っ張られていない演技でよかったです。あの濃い上杉さんの「先生」の影響を受けないだけでも大変だと思うわー・・。相変わらず体のキレもよくて嬉しかったな。深っちゃんもマリアの加藤さんも好演だったと思います。しかしまあキャストより何より、これだけ頭の固いファンの気持ちをひっくり返した脚本に軍配。参りました。
私はこれの初演で先生役をやっていた上杉さんのこの役に、一種の野田芝居の理想を見ているので、どうしてもひねくれてしまうのです・・・・。ちなみにビデオの見過ぎで、台詞をほぼ全て暗記していることに気が付きました(笑)。