「ペリクリーズ」

  • シアタードラマシティ 3列37番
  • 演出 蜷川幸雄

っていうか長い。とにかく長い。ああ、別に面白くなかったわけじゃないのよ。つーかまあどっちかといえば面白かった方だと思うのよ!でも長い!後半マリーナとペリクリーズの再会、さらにタイーサとの再会のシーン、あまりに引っ張りすぎてこれ以上話長くしたらこのドカ靴バッファローで後頭部蹴り倒すぞコラ!と思わなかったわけじゃないが(いや思ったんだが)、シェイクスピアってやっぱし鬱陶しい!と思っちゃいましたねえ、ハイ。というか、その長さにこんなにも辟易してしまった私はやっぱりこういうの向いていないのね、と思ったり。

というか、こういう運命に翻弄される人たちの姿ってこんな風に座席に座って身じろぎもせず長々と押し戴くように見るものなのかね?できれば野外の円形劇場みたいなとこで、ぼーっと座って「あいつバカだね〜」なんて感想言いながらほけほけ見たいと思うのは私だけか。戦場という枠組みを一個どーんと置いて語り部を琵琶法師風味にするアイデアとか好きだけど、おなじ外枠なら去年見た栗山さんのハムレット(旅芸人という外枠)の方が良かった気がした。それにしてもなんでみんなこんなにシェイクスピアが好きなの?いや、好きでもいいけど、もうちょっとひねったりいじったりして欲しいような。先にも書いた父娘、夫妻の再会シーンは出てくる感情が豪勢すぎてなんだか途中で集中力が切れてしまった。ネタ的には面白いと思うけど、ネタだけ生かしてがっつり変えちゃうようなことってやっぱりしたくないのかねえ。

役者さんは本当に皆さん文句なしの実力派で、役者を見ているだけでも十分見る価値はあると思う。若き領主ペリクリーズの内野さんは、もうこれって内野コスプレ!?といわんばかりのお着替えぶりで半裸からマントから鎧姿から、それはもう楽しませてくれますよ。最初に登場するシーンの颯爽とした姿は思わず見惚れるほど良い。相変わらず姿勢も良いし、そしてなんと言っても色気がおありになるわ〜〜。老ペリクリーズも良かったけど、もうちょっと悲哀というか深みがあるともっと良かったような。というか、これは演出の問題か。市村さんはなんかもう、ほんとにあなたに助けられました!みたいな感じ。客の空気を読む間とか絶妙で、押さえるところは押さえて格好いいし、さすがだなあと。白石さんの迫力ももちろん凄かったですが。