「WEE THOMAS」

ホラー映画もスプラッタ映画も大嫌いで絶対観ない私です。お化け屋敷ですらダメな私です。だっからもう東京公演の評判聞いたときは真剣に観劇をやめようかと思いました。しかもこんな時に限って最前列。笑えねーなーおい。でも行ってみたよがんばって!心構えが出来ていたおかげでかなりフラットに見れました。よかったよかった。個人的に血塗れグロ死体解体よりも乳首を切られるかどうかのほうが怖かった(なんじゃそりゃ)。

アイルランド抵抗の歴史とか、そういう下地があったら逆にもっと笑えたかも、な所が多々あり。イギリスでは現実の現状の悲惨さが観客側にも身に染みついていたろうし、だからこそお芝居の中での悲惨さの針の振り切れ具合が笑いを生む気がするけれど、私達には「単に悲惨」というように感じられてしまう所があって。ブラックな構造そのものをコメディとして受け取れず、結局微妙なくすぐりで笑うだけになっちゃったなあみたいな。でもまあ翻訳劇だしなあ。そのへんはしょうがないのか。翻訳劇にしては、って、私の中の翻訳劇のイメージでしかないけれど、三宅さんとかはかなり笑いを生むのに成功していたような気がする。セリフが身に付いている感じがあって、無理がなかった。それにしても「クソ猫」「クソパドレイク」とよくセリフに「クソ」がつきますが、あれって「fuckin'〜」ってのを「クソ」って訳しているのかなあ?あまりに連呼されるので気になった。
終盤のオチは結構読めるものの、マレードがパドレイクを撃ち殺すあたりから緊迫感と笑いがない交ぜになってなんとも不思議な感覚でした。血塗れの中での「いとしい我が家だ」のセリフはすっげえシュールで好き。

ねこにゃんの噂は耳にしていたのですが二匹ともすっげーー可愛い&かしこい!!中山さんがかなり長い間膝上だっこで猫を撫でているシーンがあって、「代わってくれーー」もしくは「さわらせてくれー」とじたばたしそうになりました。保村さんは出番少なくてさみしいんだけどインパクトという点ではかなりある。裏切り三人コンビの三宅・六角・加藤のお三方の中では前述のように三宅さんが怖さと笑いをうまいことミックスさせていてすっごいなあ!と思ったり。佐藤さんは声がちょっと気になりましたが眼はすごくいい〜。姿勢もいい。中山さんと板尾さんのボケ加減は後半の方が乗っていたような感じ。オイルで見直した(失礼)北村さんは声の切り替えがうまいなあと改めて思いました。ちょっと渋めにするときとか、凄くいい声。クールなイカレぶり格好良かったです。撃たれっぷりも好きだ。撃たれっぷりと言えば六角さんの撃たれ具合と血糊飛び出具合は舞台にしてはかなりリアルですごかったですね。