「ウーマン・イン・ブラック」

  • シアタードラマシティ 4列30番
  • 原作 スーザン・ヒル/演出 ロビン・ハーフォード

怖いものが嫌いなはずなのになんで二つも続けて怖い芝居見てるんだ私・・・(と今下の感想を見てちょっと思った)。日本では5演め、99年にも同じキャストで上演されていますが何故か見に行っていません。何故だ。すげー不思議。というわけで初見です。クリスマス間近のロンドン、とある劇場の中で男がひとつの物語を語り始める。そうして回り始めた歯車は、もう止められない。
(以下ネタバレ)

これはあれだなー、「リング」(鈴木さんの原作の方)だな〜、いやブラウンの「うしろを見るな」でもあるな〜とか思いながら見ていました。つまりこの物語自体がね、リングでいうところの「ビデオテープ」なわけで。悪夢の連鎖というか悲劇の連鎖というか、そういう「終わらない恐怖」と、最後のカーテンコールで「あなたも当事者だよ」といきなり物語の枠に放り込まれる恐怖と。そういう意味ではあのカーテンコール、ぼーっと女の人が映るだけの方が効果的だったような・・・って、え?女の人?・・・見てない?・・・そんなの居なかった?ってじゃああれはいったい・・・?

みたいな、な!(何故かラーなオチ)
そういう枠組み全体から醸し出す恐怖感と、舞台で進行しているお話の中でヤング・キップスが体感している恐怖が絶妙にブレンドされた見事な出来。いやあぞくぞくさせられました。ちなみにアレだ、こういうときに限って私の席は通路側の「どんなキャストも」横で立ち止まって下さるポジションでもう・・・黒いドレスが肘に触れたときはあまりのことに振り向けず。音の演出、懐中電灯をうまく使った光の演出、どれもこれも効果的。情景描写も非常に巧みで、私は舞台となった城の情景は思わずモンサンミッシェルを思い描いてました(そこを舞台にしたミステリ読んでいたからかもしれないけど)。ちなみにスパイダーは私の中では絶対にビーグル犬なのだが皆さんの意見も聞いてみたいところ。

斉藤晴彦さんは5演目ということも勿論あるでしょうがまったく舌を巻くうまさ。凄く芝居のうまい人がわざと下手にやりしかもそこからどんどん役にはまってうまくなっていくって、なんだかすごくややこしいですがまったく違和感を感じない。オールド・キップスが徐々に芝居モードに入って行くとことかしびれたなあ。来た来たァ!って感じ。上川さんも序盤の余裕ある若手俳優と、後半の振り回されキップスをうまく切り替えていて見事。それにしてもブリティッシュ・トラッドなお洋服が良くお似合いで・・・!(惚)。ああいう系統のお洋服大好き♪ああ目の保養。大阪スタートですが、お二人とも素晴らしい仕上がり具合でうおお、プロだぜーー!と感心しきり。コワかったですけど、そ以上に良いお芝居でした。