「ナツヤスミ語辞典」キャラメルボックス

12年前の記憶を勝手に脳内補完しているだけかしらと思いつつ、でもやっぱりいい芝居だったし、好きな芝居だなあと思った。私のキャラメルベストは「不思議なクリスマスのつくりかた」だけど、でも甲乙つけがたいぐらいナツヤスミ語辞典大好き。
中二のナツヤスミ、どんなことが起こるかわからない、そんなナツヤスミの、とある出来事。

音楽がほぼ変更されておらず、それはもうすっごくうれしかったです!!あのテーマソングというか冒頭の音楽、あれがなきゃナツヤスミ語辞典じゃないよな〜〜!!懐中電灯のダンスのシーンもすっごくすっごくすき!!!でもってヤンマとアゲハが、それぞれ母親と喋るシーンありますよね、微妙にシンクロさせて話が進んで行くところ。ああいう演出、ホント好きなんです。成井さん最近ああいうのやらないよねえ。このシーンの坂口&大森のお母さんペアはもう言うこと無し、完璧!特に坂口さん確か12年前も同じ役だったのでは・・・?(笑)キャラメルの説明台詞っていつもはすごく気になるんだけど、西川さんが手紙を読む、って形だからすごくそのあたりもスムーズでうまい脚本だなあと。今回は駅長さんと郵便屋さんは別の人がやって居るんだけど、同じ人がやった方がカブトたちの物語と、クサナギの物語の微妙なシンクロ具合に味が加わってよかったのではないかなあと。郵便屋さんのちょっと不思議なテイストも生きる気がするし。

私はこの芝居の何が好きってもちろんラストへ向けての展開もなのですが、ヤンマのエピソードが凄く好きなんですよね〜。なんなんだろうなあ〜、なんかこう、うまく言葉に出来ないんだけど物凄くわかる、というか、あのヤンマの切なさみたいなものにつかまれてしまうんですよ・・・。中二のあの頃、色々なものに押し込められていて、何のための我慢なのかもわかんないまま、我慢しろ、お前のためだと言われていたあの頃のことをすごく思いだしてしまうのです。「どんなに馬鹿馬鹿しいと思っても私は絶対逃げなかった」「だけど泳ぐのだけは我慢できないの、どうしてわかってくれないの!」もう30の壁も越えて(笑)、さすがにもうヤンマに共感できねーかもなーとか思っていたのに全然泣いちゃいました、あはは。泳ぐ、泳げるなんてこと、全然大人になったら関係ないのにね。数学出来ないとか牛乳飲めないとか、そんなことだって関係ないのにね。我慢するって、そんなに大事なことなのかしら、なーんてね。思ってしまう訳なのですよ。

クサナギの西川さんが観たくて観たくて、それでドルフィンにしたのですが、松葉杖ついてでてきた瞬間にもう懐かしさで涙涙。相変わらずうまいし面白いし満足だったのだけれど、唯一ラストの台詞を聞いていて、やっぱり西川さんはもうクサナギではないのかもなーとか思ったりもしました。なんていうかな、もう玉手箱開けちゃってる感じがある(笑)。そういう意味では岡田達也さんのクサナギはちょっと観てみたかったかも。藤岡・大木のカブト・ヤンマペアはなかなか好演だったのじゃないでしょうか。カニタニの青山さんはすっごくよかったなあ〜。ナナコとウラシマとアカネの話もやっぱりすごく切なくて、あの「メリークリスマス。15年も遅くなってごめん」はくらってしまいます。そして夜空を行く銀河鉄道。あ〜ほんとイイ話書いてんじゃん成井さん!!キャラメル最後の近鉄が、この作品で本当に良かった!!