- 銀河劇場 F列14番
- 作・演出 小林賢太郎
TAKE OFF再演以来のKKP。キャストの4名中3名が「TAKE OFF」とかぶっているということもありますが、手触りとしても構成としても類似した部分があったように感じられました。
しかし「何色ともつかない果てのない壁」とか言われて真っ先に「天使は瞳を閉じて」を思い出すほどには第三舞台脳なので、これこのまま壁の前でダンスとかしたらどうしよう、と思ったらほんとにそんなシーンがあっていろんな意味でくらくらしました(笑)しかも壁を破壊(しようとする)話だしね!
何か仕掛けがある、というのはもう観ている観客もどこか構えている部分があるわけですけども、ネタがばれたあとで思えば細かいいところまで左右反転で造りこんでいたに違いなく、そういうセンスオブワンダーを舞台の上で必ずひとしな観客に対してサービスする、という点では小林さんはまったくさすがだなと思いました。名前の仕掛けは大映しになったってことはなんかあるんだろうと思い、左右対称だなというところまでは気がついたんですけど、そこどまり(笑)
これは完全に好みの範囲の話ですが、気になったのはちょっと暗転が多いなってこと。いや私が暗転嫌いだからっていうだけなのかもしれないんですけど、観客の生理に合った暗転じゃなくて演者側のタイミングによる暗転だったのでそこはうーむ、という感じでした。まあそこもうまく使って笑いに転化してるところもあるんですけどね。
もちろんげらげらと面白く拝見しましたし、キャストのアンサンブルもとてもよくて、楽しい時間だったなあ、という点ではほんとに大満足なんですが、欲を言えばラストの展開にもうひとつカタルシスが欲しかったなあとも思いました。まあ、これだけちゃんと面白くて、それでもまだもっとだ!もっと!と思ってしまうのもファンの強欲という感じではあるんですけれども。
しかし、オレンヂさん改め辻本耕志さんは、もとはといえばTAKE OFFで代役でキャスティングされた経緯をもはや忘れそうになるほど小林作品にきれいにはまっていて、これも怪我の功名というやつかしらんなどと思いをり。KKPにおける久ヶ沢さんはもはや小林さんのミューズですな(笑)久ヶ沢さんに託された部分はすごく大きいですよねえ。竹井亮介さんはおそらく初めて拝見したんだと思いますが、3人との呼吸もぴったりあっていてとてもよかったです。
見ながら、もしくは見終わった後にあーだからこのタイトルなのねー、みたいな得心顔で会場をあとにするというのも、またこれ小林賢太郎作品ならではというところでしょうか。