鴻上さん主宰の「虚構の劇団」をまるっと木野花さんに預けてみましたという、劇団のblogの方でも話をされていますが「朝日」の天の岩戸編再びみたいなこの関係性*1。
精神疾患を持つ者たちの開放病棟、というような設定の中で、患者たちが「星の王子様」を上演していくというのが筋書きです。木野さんも「難しい脚本」と仰っていますが、うん、私もそう思いました。まずその「精神的な病」というのを舞台の上に乗せるのは実はすごく難しいというか、やりすぎると嘘くさくなるしやらなさすぎると伝わらない。「熱演しているなあ」というふうに俯瞰で見てしまうとなかなか入り込みづらい。
劇中劇の「星の王子様」での台詞と現実の彼らがどこかしらシンクロしている部分があるのですが、なかでも一番シーンとして素晴らしかったのは渡辺芳博さん演じる佐藤が、マキを相手に淡々とキツネの台詞を諳んじる(へたに抑揚をつけず、まさに諳んじている、という感じ)ところでした。彼の心情が伝わるというだけでなく、もとの星の王子様の台詞までもが違う光を当てられたかのようにきらめいて感じられてとてもよかったです。
「天使」のときも思ったけれど、小沢さんは不思議な魅力のある役者さんですねえ。彼の役柄には何度かいらっとさせられるシーンがあったんですが、熱演してるなあ、を飛び越えてそう思わせて欲しいですよねやっぱり。
みんな若くて、だからこその熱量みたいなものを感じられるシーンもあったんですが、個人的な願望を言えば皆、戯曲の枠の中に納まっている感じがどうしてもあって、そこが不満と言えば不満でした。どこかいびつさのようなものを感じさせてほしいなあ、そういうものを劇場で目撃したいなあと思ってしまいます。