「スパイダーマン ホームカミング」


スパイディがマーベルに帰ってきたよー!って、権利はソニーのままなんですが、いろいろあってマーベルとソニーがタッグを組むことに!マーベルのロゴは出るけどソニーのロゴも出るという不思議感。
もうね、オープニングの5分で、これ絶対ピーター・パーカー好きになっちゃうやつ。おまえ…あのシビル・ウォーの空港戦の裏でこんなことを…(笑)ピーターはトニー・スタークに見出され、彼からの「ギフト」に舞い上がってしまう。

ピーターが、「研修」を言い訳にいろんな付き合いを断って、ハッピーやトニーからの鳴らない電話を待ったり、欠かさず近況報告してしまったり、吹き込んだメッセージを思い返して「あの一言は余計だったな…」て考えちゃったり、ぼく、もっとやれるよ、ってことをアピールしないではいられないのが、なんかねえ!もう、そう!そうだよね!しかもこれを人には言えないんだもんね!15歳なんて、自分は何者かになれる、という自信と、自分は何者でもないのではないか、という不安に挟まれて大海をゆく小舟のような日々なのに、ピーターには自分は確かに人に負けない能力があり、特別な体験をしているという自負があるのに、それを他者に承認してもらうことができない、っていうこの葛藤!それをすごくストレートに、でもポップでやさしく描いているそのセンスがすごいよ。ほんと誰でもスパイダーマンのこと好きになっちゃうよ。

トニーがまたピーターの良きメンターであろうとするところがね、本当にぐっときました。私自身はシビル・ウォーはすごく良くできた映画だと思っているし、キャップもトニーもどちらの言い分にも理があると思うんだけど、どっちサイドにもやたら攻撃的になるファンがいたりして、それがますます分断を呼び…てまさにUnited We Stand, Divided We Fallみたいになってしまったのがつらいところもあったんですが、キャップの盾を取ったよ、っていうピーターに「手加減してくれたんだ」とか、キャップの盾の試作品を作ってるとかいうひとことがあったのはほんと救われるエピソードでした。

ピーターの周りのキャラクターも本当に魅力的で、あのシニカルな「MJ」には今後期待しかない!って感じだし、ネッドの「イスの男」っぷり最高だし(あの挨拶…かっこいい!けど真似できないww)、なによりヴィランの造形がめちゃくちゃかっこいい!!ヴァルチャー最高かよ!!飛んでよし降りてきてよし止まってよしだよ。マイケル・キートンがまた素晴らしい…巨悪ではなくて地に足ついたところが逆に怖さを増すよね。世界を征服しようとかそんな視点じゃなくて、生活のためで、FBIもアベンジャーズも避けていて、だからこそ超えてはいけない一線も超えたら歯止めがきかない。

ヴァルチャーに瓦礫の下に沈められたスパイダーマンが、助けてくれと叫ぶところ、そしてあの水鏡に映った、半分ピーター、半分スパイダーマンの顔…。今回の映画はベンおじさんのエピソード、いわゆるスパイダーマンオリジンの部分を割愛していて、だから「大いなる力には大いなる責任が伴う」という名セリフこそ出てこないのだけど、でもここに至るまでのエピソードすべてがその言葉を指し示しているよなーと思います。ほんと、ワシントン記念塔のくだりもだけど、マジで手をぐっと握りしめて「スパイディがんばれ…!」って思っちゃったもの。

ラストバトルが夜戦だったので、スパイディのアクションならではの滑走感が薄めだったのと、単純に暗くてよくわかんない!な部分があったのがちょっと惜しかったなーという気はしますが、それでも最後のピーターの真に勇気あるふるまいが見られてよかったし、それが彼をこれからも助けるんだろうな!って思ったし、15歳の子に不可逆の後悔を背負わせるなんて鬼のようなことをしなかったので安心しました。

トム・ホランドくん最高だったね。最高だったね。何回でも言いたい。RDJももちろんすばらしかった。ほんとトムホくんがスパイダーマンに選ばれてよかったなあ…!

なるだけネタバレを避けていたので、ヴァルチャーの正体がわかったときにもマジかー!って心の中で叫んだし、最後ペッパー出てきたときもマジかよー!って心の中で叫んだし、2008年から持ってる指輪のくだりでマジかよコンニャローーーー!!!トニーよかったね!!!って心の中で叫びました。いいお客さんだった。そしてポストクレジットシーンで笑いすぎて腹筋痛めながらサムズアップしてました。いいお客さんだ!