「平成中村座 十一月大歌舞伎 昼の部」

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「実盛物語」。勘九郎さんの実盛見るの二度目だな~いつぶりだっけ~と思ったらもう結構前の話だった(まだ勘太郎さんだった)。時の流れ。そして今回なんと太郎吉に長三郎くん!すごい!
前回拝見したときも「こういうの勘九郎さんぴったりだな」と思った覚えがあるんですが、やっぱり物語るときの所作がほんとにうつくしい。馬上の鷹揚とした佇まいが特によかったです。時を経てさらに大きさを増してるし、長三郎くんとの場面は虚実綯交ぜになるというか、どうしても父子としてのおふたりが重なってより味わい深いし、こういう「役者が透けてみえる」だけでなく「関係性が透けてみえる」からこその面白さは歌舞伎ならではだなあと思います。動くなよ、って頭をぺしってやるとこ、鼻かんであげるとことかによによしちゃったい。長三郎くん、多少のもじもじはあったけどがんばってたほうじゃないかな!(えらそう)
あと最後の「鬢を染めて…」の台詞で「アーッこれ清水邦夫さんの「わが魂は輝く水なり」につながるんだった!そうだったそうだった!」と思い出し、同時に「これ前回観たときもこの台詞で気がついてたよねわたし!」ってなったので脳内メモリ不足がかなり深刻な状況です…。

「近江のお兼」。初見です!長い晒を新体操ばりに使う趣向に富んだ舞踊でした。晒が長く、幅も広いので、それこそ新体操のリボンどころじゃない腕の力がいるだろうし、振り上げたときの七之助さんの腕のふとまし…いやふとくはない、たくましさにおお…なんか見てはいけないものを見ているようで照れるぞ!と思ったり。あとこれはなんといっても高足駄で踊るのがいいですよね。それであの動きっていうのがさすがすぎる!

「狐狸狐狸ばなし」。これもだんだんおなじみになってきましたね!勘三郎さんで1回拝見して、扇雀さんの伊之助はこれで3回目かな?七之助さんのおきわを拝見するのも3回目ですね。もともと伊之助が「上方の女形あがり」という設定なので、扇雀さんほんとハマり役だなー!と観るたび思います。個人的に今回のMVPは又市の虎之介くん!よかった、よかったです。勘九郎さんの又市も好きなんだけど、若干なんかこう…あざとさが残るんですよ(笑)虎之介くんの又市、素直さが前面に出たのが奏功した感じがする。扇雀さんとのやりとりもよかったなー。七之助さんはほんとにコメディセンスのある方なので、物語が反転するたびにどっと笑いをかっさらっていくのがさすがです。あと私は一度でいいので勘九郎さんに重善やってみてほしい。なんでおれはこうモテるのかな~?って言ってみてほしい。ぐふふ。