「二月大歌舞伎 夜の部」

今月は十三世片岡仁左衛門追善ということで、夜の部は「八陣守護城」の佐藤正清を我當さんが、「道行故郷の初雪」の梅川を秀太郎さんがおつとめになっていらっしゃいます。そのほか、羽衣に文七元結という演目立て。

「羽衣」は玉三郎さんの天女に勘九郎さんの伯竜。何を隠そう(隠してない)あの有名な羽衣伝説の三保の松原の目と鼻の先に住んでたことがありますのでアタクシ。その風景を思い出しながら観たりして。大好きなおふたりの舞踊、堪能させていただきました。あの天女の花道の引っ込みのとき、伯竜がセリで下がって対比として天女が空を飛ぶように見える…っていうアイデアがすごいし、また玉三郎さまがマジで全然歩いている感ないので余計花道からすっと浮かんでいるように思えました。

「人情噺文七元結」。いっやーーーーーすばらしかった。すばらしかったね。なんかちょっと夜の部、時節柄なのか空席が目立つのが残念だったんですけど、この文七元結はもう、ぜひとも見てほしい。もちろん私は勘三郎さんラヴの人なので、勘三郎さんの長兵衛が大好きなんですけど、でも菊五郎さんの長兵衛はなんつーのか…年輪というか、どこか硬質なところがあって、それがまた一層、よかったんです。あの文七と行き交う場面も、湿っぽさはないのに、命には代えられねえ…とひとりごちる部分でぐっと情がわきたって見える。

また雀右衛門さんのお兼が最高だった!雀右衛門さんのああいうお役見たことないけど絶妙な間合い、控えめだけれどだからこそ際立つおかしみ、もう絶賛。あの「この人にやったんだッ」のとことかさ、菊五郎さんもいいし受ける雀右衛門さんもいいしで、ほんとにいいもん見たなあ~って気持ちに。文七をおやりになっていたのは梅枝さんで、これは前から思ってたんですけど、梅枝さんはほんっとーに声が良い。姿かたちはもちろんですけど、あの声のよさったらない。梅枝さんと菊五郎さんのやりとりもよかった。良き時間を過ごせました~