「ザ・バットマン」

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ロバート・パティンソンブルース・ウェインバットマンを演じるDCフランチャイズのリブート作品。監督はマット・リーヴス

バットマン、これまでも数多の作品があるけれど、ノーランの「ダークナイト」ですら映画館で見ていない勢(その頃は年に1、2回映画館に足を運べば多い方だったのである)で、大スクリーンで最初に見たDCがほぼザック・スナイダーだったので、いやマジで全然ちげえな!?というところにちょっと感動すらしましたね。

本作のブルースはまだ若く、バットマンとしての活動を自分のよすがにするだけでなく、運命の意味もそこに見出そうとしている危うさがあるわけですが、その雰囲気にロバート・パティンソンがずっぱまっていてさすがでした。作品の全体のトーンが彼の演技にぴったり沿うような心地よさがあった。

見ている間中、いやーむちゃくちゃジェームズ・エルロイっぽいよなーと思ってたんですけど、そういう人がほかにもむちゃくちゃ沢山いたのであっやっぱりそうだよね!ってなった。リドラーの仕掛けた「なぞなぞ」を解いていく部分と、権力側の腐敗を追うという物語の絡み方がそう思わせたんだと思うけど、それぐらいストーリーラインが明確というか、追っていきやすい作りになっていた気がする。逆にいうと私の思うアメコミ映画ぽさ、みたいな部分は薄かったかもしれない。

ゴードン警部との信頼関係は出来上がったところからスタートなので、グイグイ事件現場に来るし、お前はシャーロック・ホームズか!?みたいな治外法権(証拠に触るとか)ぶりだし、あと爆弾事件の処理の仕方が真っ向勝負すぎるとか、あそこでカウル外されないでワイワイ見守る警官とか、なんかこう地元警察とのわちゃわちゃぶりは結構楽しかった。あとバットマンといえばアルフレッド・ペニーワースですけど(極論)、今回はアンディ・サーキスがアルフレッド役。マイケル・ケインともジェレミー・アイアンズともまた違う雰囲気で、ほんとこの役私の好き系譜の役者しか来ないなと改めて。

過去を神聖視するあまりに足元を見失っていたブルースが、過去に触れ、それを飲み込み、市井の人々のために動く、というクライマックスへの流れはすごくよかったです。あのトーチの灯りを掲げて人々を導くシーンの美しさよ。足元を見失うと言えば、あわやアルフレッドが、のあとの病院のシーンむちゃくちゃエモかったですね。いいからさっさと手を取ったらんかい!!と私の中の主従萌えがやかましかった。

キャット・ウーマンであるセリーナとの絡みも終始「おずおず」みたいなおぼこいブルース坊ちゃんがこれから海千山千の社交界の顔になるところ全然想像できませんが、これはこれで続編可能性あったりするんですかね。ペンギンのスピンオフドラマはあるみたいだけど。そうそう、エンドロールでコリン・ファレルって出てきて、えっ!どこに出てた!?と思ったらペンギン役だったのでうそやーーーーそう思って見てもわかんねえーーー役者すごいーーーーと感心しました。