「2020」

高橋一生さんのひとり芝居。演出は白井晃さんで、上田岳弘さんの書き下ろし。一生くんがひとり芝居をパルコでやろうというときに、自ら作家に声をかけ、過去にタッグを組んだ演出家を巻き込み、ウェルメイドとは真逆の方向に全振りした作品を指向するというのがすごく面白いなと。ほんと硬派な人ですよね。

この世界を構成する分子のひとつにすぎず、それでいて世界の全体である、というような視点からの語りが続くので、相当に観念的だし、それでひとり芝居なので、挑むハードルの高さよ…と思いました。観客もそうそうに自分の立ち位置決めないといろいろ掴みそこねるやつ。最後まで理をもって食らいつくか、目の前の事象を受け入れて感性の海に漂うか…。個人的には、大錬金ぐらいまではなんとか波に乗れていたんだけど、その途中で振り落とされちゃいましたね!わははは。

一生くんはさすがに達者というか、うまいなと思わせるのはもちろんなんだけど、こうしてひとりで場を持たせる形になると、この人けっこうけれん味の強い芝居をするんだなっていうのが発見でしたね。新感線どうだ?(すぐ新感線に誘うのやめなさい)あと舞台表現というものについて、まず身体表現であるっていう信念というか、憧れがあるんだろうなと思わせるステージングで、そこもよかった。どれだけ人気者になってもこうした舞台に出てくれる一生くん推せるぜ。

舞台床面と背面のプロジェクションマッピングの出来がすばらしく、これ映像上田大樹さん?と思って後で確認したらやっぱりそうだった。安心と信頼の上田大先生。床面のは特に2階から見ているからこその面白さもあった気がします。