「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」


ジュラワシリーズ3作目、ジュラシック・パークから数えて6作、堂々の完結編の触れ込みで、ジュラシック・パークオリジナルキャストのローラ・ダーンサム・ニールジェフ・ゴールドブラムが顔を揃える話題作。主演はもちろんクリス・プラット、監督はコリン・トレヴォロウ。

いやーなんか、散漫な映画だった。公開直後にあんまりあからさまにブーブー言いたくないけど、しかしこれはあんまりでは…という感がすごい。こうした大作が大味になることはままあって、でも大味だって味じゃん!!と思うし、そういうのが見たい時ももちろんあるんだけど、もはや大味ですらないという。ちょっと前作の記憶も薄れ気味ではあるんだけど、なんか恐竜たちが世界に解き放たれて、さあどうする!からだった気がするので、どうにでも持っていけそうな気がするのに、逆にむちゃくちゃ映画の中の世界が狭く感じてしまったな。

オーウェンとクレアとメイジーの疑似親子組と、旧作3博士のトリオとのそれぞれのエピソードがまったく有機的につながっていなくて、人間たちの物語にほぼカタルシスがないというのも痛いんだけど、それでも恐竜が圧倒的な力を見せて暴れ回ってくれたらまあまだその部分は満足できた気がするのに、肝心のそこが手薄なのがほんと残念だった。偶発的に出会って偶発的に戦うだけだもんなあ。人間たちが恐竜をコントロールしようとしても、それを超えるXファクターが恐竜側にあって、そこから生まれる危地をどう脱するのか、というテンプレさえもガタガタだったし、そもそも今回そのXファクターが巨大イナゴに全振りされてるんですよね。いや昆虫パニックもの映画見に来たんじゃないんですってば。

なんかこう、登場人物側を「良き行いをするひと」に落とし込もうとするあまり物語がいびつになっていた感じがすごくありましたね。ドジスンの最後もなんだかなだったしね…。あとジュラワ第1作でミーム化したオーウェンがラプトルを制するときのあれ、いつでもどこでもなんにでも連打してて「またそれ?」という気になっちゃったよ。人間のコントロールできないものが自然界にはあって、恐竜ももちろんそのひとつなのだ、という部分が好きなので、あんな唐突に共存共存!言われても、その横で走ってる馬そのうち喰われるよ、ということしか考えられないんだけどもっていう。

よかったのは新キャラのケイラ周りで、すごく魅力的だったよね。彼女が絡んだアクションシーンはなべて面白かった。マルタでの追っかけっこから飛行機に飛び乗るまでのシークエンスと、制御装置が外されて大型翼竜に襲われてからの不時着、氷の上でのアクションとかは見ごたえあったなーと思います。あ、あとメイジーが首長竜を見かけるところ、あれちょっとブラッドベリの「霧笛」ぽいよね。あそこは好きだった。

サム・ニールローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラムも、キャラクターとしての魅力は全然失ってなくて、つーか倍掛けで渋くカッコよくなってるのさすがすぎた。だからこそもっと脚本がなー!という気がしてならない。ヒットした映画の続編を高クオリティで作ることっていうのがどれだけ難しいことなのかってのを改めて実感しました。