「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」


ミッションインポッシブルシリーズ最新作!毎年夏に大作をコンスタントに公開するとむくる先輩すごいっすね。昨年の「トップガンマーヴェリック」の大ヒットもあって、また集客力がここにきて最高レベルになってるの凄すぎです。俳優組合のストで来日イベントは中止になってしまいましたが、IMAX先行上映と公開初日にレーザーIMAXのバカでかスクリーンで拝見させていただきましたよっと。

今回も例によってクリストファー・マッカリーという、撮った素材をランダムに並べてよーいドンで物語を作りなさい大会を開いたらおそらく右に出るものがいない特異な監督・脚本家ありきの仕様というか、バイクでスカイダイビングしたい!列車の上でバトルしたい!その列車を落としたい!みたいな、あんたの夢を叶えたろか的なアクションをひたすら詰め込み、それをマッカリーの職人技でひとつのストーリーラインにしていくんだからすごい。

正直、特に今作はAI(とそれを操る者)をヴィランに据えていて、何でもあり感が強いのと、その何でもあり感のためにいまいちイーサンたちと対峙するものが見えにくい(ガブリエルは別として)のもあって、大味というよりも飲み込みにくさがあるなとは思ったな。その飲み込みにくさを怒涛の勢いで流し込んでいくアクションの釣瓶打ちがすごすぎて観ている間は細かいところまで頭が回らんというのも大いにありますね。

前作フォールアウトの感想でも書いたかもしれないですが、ゴーストプロトコル(ごぷろ)、ローグネーション(みりん)の2作でそれまでのイーサンとその他、みたいな物語からよりチームを前面に出した作品に舵を切っていて、それが成功しているからこそシリーズ7作目でもマンネリにならずにすんでいるんだと思う。で、私は個人的にみりんを溺愛しているんですが、物語としての面白さもだし、なによりこの作品でイルサ・ファウストというキャラクターが出現したことがね、今までと違った面白さを打ち出せた要因になってるんじゃないかと思うんですよ。男女ではあるけど、ブロマンスもしくはシスターフッドという言葉の方が似合う、凄腕で孤独で魂の似ているイーサンとイルサが共闘する面白さって本当に得難いものがあった。

今作でヒロインというか、イーサンと追いつ追われつして共闘するグレースは、我々観客がイルサに思い入れていればいるほど彼女に肩入れできない展開になっており、ちょっと割を食った感がある。巻き込まれ型ではなく、自分の技量(掏摸)でイーサンを出し抜こうとすればするほど、グレースがイーサンらの目的達成を阻んでいるようにみえる展開が続くのもグレースというキャラにとっては気の毒な感じだなあという気がした。私はもう初見のときはショックのあまりそのあとちょっと記憶が飛んでますからね…。とはいえ現実的に考えると、レベッカ・ファーガソンが売れっ子すぎて撮影スケジュールの関係かなあ…(DUNE続編あるもんね…)とかも思ったんですけどね。

今回、ローマの街でイーサンとグレースが手錠に繋がれたままカーチェイスを繰り広げるシーンがあることから、ルパン三世を彷彿とさせると言われていましたが、イーサンたちを追いかけるアメリカ側のエージェントのふたりが完全に銭形ポジションなのも拍車をかけてるなと思ったな。あの二人なかなかいいキャラなので続編でどう絡んでくるのか期待大。ペグちゃんベンジーのいつもの無茶ぶりもここまで来たかという感じだったね。続編、ルーサーがいったん引きこもるみたいな発言あったけど、この二部作のフィナーレでルーサー出なきゃウソだし、ベンジーにも活躍してほしいし、なんならブラント君わんちゃんないかなって思ってますけど難しいですか。指令室みたいなところからワンショット出てくれるだけでもいいからさー!

シリーズ初の二部作で、むちゃくちゃクリフハンガーな終わり方をするかなと思いきや、一応イーサンがガブリエルに一矢報いて終わるので、それなりにすっきりと映画館をあとにできる仕様で助かりました。それにしても、掏摸は世界を救う(かもしれない)ぜ!