「ヘアスプレー」

  • 梅田芸術劇場メインホール 1階18列34番
  • 脚本 マーク・オドネル/トーマス・ミーハン 演出 山田和也

2020年7月に上演予定でしたがコロナ禍を受け中止、今回満を持しての日本版上演。主演に渡辺直美さんを配したこともあり東京方面からは結構なチケット難の声が聞こえてきましたが、大阪は公演期間が地方公演にしては長めというのもあって先行予約でおさえることができました。

もちろん楽しかったし、見てて興奮する場面もあったんですが、それよりも「あっ、ヘアスプレーって、そういう話だったのか…!」っていう部分が一番印象に残った感じです。見る前に私がぼんやり把握してた「ヘアスプレー」は、ブロードウェイ版がトニー賞総なめにしたとか、ハーヴェイ・ファイアスティンが出てたとかいう周辺情報で、あとは自己肯定感バリ高な女の子がそのポジティブなエネルギーで周囲の人間に影響を与えていくって感じの話なんだよね~っていうマジでうすらぼんやりした認識だけだったんですよね。

で、実際そのうすらぼんやり認識が大外れかっていうと勿論そんなことないし、大枠ではそういう話でもあるんだけど、でも全然芯を食ってない認識だったなっていうのが実際に見てわかった。これは超ど真ん中どストレートなレイシズムに対するプロテストが芯にあるミュージカルなんですよ。そう考えるとね、日本版の上演というのはどうしてもそこがぼやける。ぼやけざるを得ない。それぞれのキャラクターの服装が示す文化的な背景とか、ダンスや音楽のルーツみたいなものが認識として染みついていれば別かもしれないけど、なかなかそうもいかない。公式サイトにも「人種・体型・性別の差別問題も絡めながら」って書いてあるけど、絡めながらっていうような物語ではないだろ…という気がしました。

プロードウェイ版の上演が20年前で、その時点からでも人々の意識ってずいぶん変わってるよな、ってことも思ったかな。これもし今舞台にかけようとしたらもうちょっと繊細な作りにするのではないかという気がする。逆に言えば20年前にはこれぐらいストレートなパンチが必要だったってことでもあると思うけども。

人気テレビ番組に出たい!というところから端を発するのと、そのテレビ番組がダンスコンテストを主催するという展開があるので、最終盤はとにかく歌とダンスがこれでもか!と投下され、圧巻と言ってよいです。ここは文句なしにアガりにアガりますし、だからこその渡辺直美さんのキャスティングなんだろうなっていう。

山口祐一郎さんのエドナと石川禅さんのウィルバーの夫婦、見せ場でこれでもか!と実力を発揮していてさすがすぎた。エドナもうちょっと自然なボディメイクだったほうがよかったのにな~という感じはある。コーニー・コリンズをやってた上口耕平さんのダンス、キレッキレでつい目で追っかけちゃう魅力があってよかったです。