「ドリームガールズ」

  • 梅田芸術劇場メインホール 1階20列43番
  • 脚本・作詞 トム・アイン 演出 眞鍋卓嗣

映画版の情報が中途半端に頭の中にあったせいで「デスチャをモデルにした話だったっけ…?」とぼんやりにもほどがある認識で見始めちゃいましたが、そんなわけなかった。時代が違うのよ。シュプリームスをモデルにした話だったそうだった。ビヨンセが映画版で主演してた情報をごっちゃにしてたよ!

この世の歌ウマ声量オバケを集めてこい、とキャスティングされたと言っても驚かないくらい、まあ冒頭から最後の最後まで歌の圧でぶん殴られ続ける2時間半でしたね。恋人同士のいちゃつきも痴話喧嘩もビジネスも家族愛もぜんぶ!歌でやります!しかも大音量で!って感じだった。歌をしっかり聞かせて尺を取る、というよりは、歌に乗せて物語をぐいぐい進めていくので、展開もスピーディになるのがうまい見せ方だなと思ったな~。

セットもすごくよかったですね。中央の盆は転換にも使われるしステージの「あちら側」「こちら側」の切り替えにも有効だし、レコードに見立てているようにも見えて印象的だった。あとカーティスが中古車販売業から成り上がるの、「エルヴィス」のパーカー大佐を彷彿とさせるし、このアメリカンドリームの裏で夢を作りだす側になろうとする者の人物像ってやっぱどこか似通るよな、と思ったりしました。

物語の中では一番有為転変があるのはエフィなので、彼女を軸にしたストーリーラインのように見えるんだけど、これステージで観る分にはやっぱりディーナがどれだけ光り輝けるか、ってことがこの作品の肝を握っているように思ったな。そういう意味でも絶妙なキャストバランスだった気がします。

私望海さんの舞台拝見するのたぶん2度目だと思うんですけど、なんつーか、オーラの出し入れが自由自在なんかい?メモリ単位で出力できるんかい?と言いたくなる!最初のシーンで3人が出てくるけど、正直誰が望海さんかぜんぜんわかんなかったんですよね(すいません)。で、中盤ディーナの美しさにカーティスが目を奪われるシーン、あるじゃないですか、白いドレスの。あそこでホント、今までと明らかに違うレベルでパッと輝く。でもうそのあとはオーラメモリをぐんぐん全開にしていくだけっていうね!すげえ。華とは!こう!!っていう馬力の違いを見せつけられた感。

spiくんのカーティス、押し出しの強さが全面に出ててナイスキャスティングだったな!劇中のナンバーの中でカーティスとCC、サンダー・アーリーが歌うSteppin' To The Bad Sideがむちゃくちゃ好みで、ワシはどうやってもこういうのに弱いね…と自分の好みを改めて自覚しましたの巻。