「平成中村座 十月大歌舞伎第一部」

「双蝶々曲輪日記」。勘九郎さんの濡髪長五郎!!いやーかっこよかった大きかった。歌舞伎ではときに「いかに大きいか」(物理ではなく、存在が)が何よりも大事という演目があるけど、これもある意味そのひとつだよね。放駒たちのやりとりが先にあって最後に出てくるところで格がちげえわ、と理屈でなく観客に納得させる大きさ。よかったです。虎之介さんの放駒も闊達で映えてた!というか今月なにげに虎之介さん大奮闘月間なのでは!?

「極付幡随長兵衛」。獅童さんの幡随院長兵衛で。いやよかったですね。油の抜けきってないというか、ギラつきを残しつつ、でも親分の風格もありつつで。七之助さんがまたお時のような役がむちゃくちゃはまるし、長松を実子の陽喜くんがやるというのもファミリー感の強い中村座に合っててよかった。我が子との別れとのころ、どうしたって見てる方もやってる方も入り込んじゃうしね。湯殿でだまし討ちにするというのはあの時代の常套手段だったんでしょうなあ~。勘九郎さんの水野十郎左衛門、実に憎々しい立ち居振舞いで、最後は長物を持っての立ち回りもあり、ファンとしては大満足でございました。

そうそう、冒頭に劇中劇?の「公平法問諍」もあって、これも面白かった。芝居の最中にあんな乱入されたら炎上待ったなしだぞテメエ!と思いつつ、ああいうことが起こったときの舞台番だったりもするのだろうか(どなたか存じ上げないのだけどこの役者さんがむたくたカッコよかったです)。当時の風俗が感じられる場面だし、そのあとの展開を考えても良い効果だったと思いました!