「隠し砦の三悪人」

近所の劇場で上演予定なのをポスターで見て、キャストに六角さんと風間くんがいるのを見て、演出はちとアレだけどまあ気軽に観られそうかなと思って足を運んでみました。基本的には黒澤明の「隠し砦の三悪人」のストーリーラインそのままで、とはいえ映画には出てこないいかにもな悪役を登場させたりもするオリジナルな部分も皆無ではない、というところ。

上川さんが主役、座長という立ち位置で真壁六郎太を演じているんだけど、キャラクター的に面白く、ちとトリックスター的な立ち位置でもある太平と又七のコンビのほうが物語が動くきっかけになることが多いので、個人的には太平と又七にもっとフォーカスを当てた方が舞台としては面白くなるんじゃないかという気がしました。あのふたりの小狡さの中に、それでも「一寸の虫にも五分の魂」みたいなシーンがあったらむちゃくちゃ輝いたんじゃないかと思うんですよねえ。六角さんとかざぽんさすがのうまさだったしね。

舞台装置の転換のたびに幕を下ろし、幕前(と花道)で芝居をする、というのがずっと繰り返されるので、花道はもうちょっと高まる使い方をしてもらえたらな~という気持ちもあったな。六郎太と田所兵衛の一騎打ちを竹林でみせるところはセットもすっきりしていて、ちょっと「マクベス」の「バーナムの森」みたいな演出味もあって印象に残りました。

私が観た回で、クライマックスの殺陣の真っ最中にカゲアナが入って舞台の進行が止まり、そのままするすると緞帳が降りて待たされることしばし。止まった原因のアナウンスがなかったので、うーむ誰でもいいのでなんか説明がほしいやつだぞ!と思っていたら場内アナウンスに続き上川さんのアナウンスで「機材トラブル」とのお知らせ。上川さん、とっさに自分がカゲアナやった方が良いって判断だったのかなと思います。15分ぐらい?待った後中断部分の少し前から再開。で、再開してなるほど、盆が回らなかったのね、と。盆を回して雪姫たちが乗る船に六郎太と兵衛も乗って去ってゆくという展開なので、これは回らないままの進行は無理なやつだわ…と納得。

終演後も上川さんより再度ご説明と謝罪のお言葉。座長の仕事してはる…!立派になって…!(誰目線)大きな落雷があったらしく、そのせい?なのかな?詳細は不明なれど笑顔で打ち出してもらえてよかったです。