「OUT OF ORDER」

レイ・クーニーの戯曲を豪華キャストで上演。兵庫公演が取れず、えっじゃあ大阪かあ…と深く考えずに先行申し込んだら大楽が1枚転がり込んできたっていう。地味に運を使い果たしたのでは!?と思うほど、明らかに激戦だった感のある客席でしたね…倫也くん人気すさまじいね…。

お話はいかにもレイ・クーニーというか、その場しのぎのデタラメからどんどん状況が悪化し、登場人物たちは思いつきで別人を演じることを余儀なくされ、すったもんだの末に丸く収まる…という王道コメディ。与党副大臣リチャードと野党の新進気鋭の議員ジェーンがホテルで密会、双方既婚者でありかつ政治的立場からもこの密会がバレるとお互いのキャリアに暗雲が立ち込めるというやつだが、そのスリルを味わってしまう恋人たち。しかし、そのホテルのスイートルームの窓に一人の死体が発見されてさあ大変。警察は呼べない、支配人にも言えない、この死体をうまいこと処理して不倫がバレないようにするにはどうしたら!という状況で呼び出されるリチャードの私設秘書ジョージ。彼の苦難の道のりは、いま始まったばかり!

口から出まかせとその場しのぎの嘘を重ね塗りし、事態を悪化させるリチャードをユースケ・サンタマリアさんが演じていたんだけど、絶妙に作り込まない、なんとなく素が見えるようなキャラ立てにしてたのがよかったね。こういうタイプのコメディは、ともするとこの「おまえがすべての原因だ!」という役どころが反感を買ってしまいかねないが、ユースケさんのキャラクターが絶妙に効いてたと思いました。マギーの演出も実に手堅い。

ほぼ全編振り回されっぱなしのジョージを演じた倫也くん、後半に至るまで種々様々なリアクションを求められる役柄だけど、彼本当にこの若さにして達者というか、投げられる球種がバラエティに富んでるのがさすが。驚き、あきれ、苛立ち、諦観…などなど、どんどんひどいシチュエーションに陥っていくなかでまったく演技に繰り返しがないのがすばらしい。あとはやっぱりリチャードの妻パメラを演じた猫背椿さんの圧倒的コメディ力というか、舞台で面白いことをみせるとはこういうことでございます、というような芝居が圧巻だったなと。マジで「おもしろ」において踏んできた場数と種類が違いますという感じ。後半もはや猫背さんが出てくるだけで面白いというようなレベルでさすがすぎました。

最終的に広げた風呂敷がきれいにたたまれるというよりは、「あれはどうなったんだっけ…?」みたいな疑問符ありつつも勢いで飲み込ませる!という感じではあったけど、こういうハッピーエンディングは嫌いじゃないやつ。年の瀬に気持ちよく笑って終われて、すがすがしい芝居納めでした!