「業音」 日本総合悲劇協会

なんだか松尾エキス原液で飲まされちゃったよ・・・って感じなんですけど。観ている間楽しかったし笑ってたんだけど、ホテルに帰ってからとか次の日飛行機で大阪に帰るまでなんだかふらふらと酔ったような感じでしたよ。決してキライではないしむしろ好きなんですが、でも見るのに異常に体力が要った芝居でした。

キャラクターそれぞれの欲望と、欲望の叶えられなさからくるねじれがなんだかいちいち胸に応えすぎてなぁ。粥ちゃんの「そんなどっちでもいいコンビニ人生なら粥とセックスして死のうよ!」ってのも痛烈だったしな。10分のデートを心待ちにする気持ちに共感したあと、そのために子供を見捨られるとその業までこっち(客)にも来ちゃうような感じで・・・。9.11の映像の大写しはちょっと劇的すぎる気もしつつ、しかしあの映像の異常さに改めて気付かされた感じだ。

「疲れて」「だるーい」荻野目慶子さんと、対照とも言うべき志摩さんの2人の女優さんがお見事だったかな。2人ともたがはとっくに外れてしまってるんだけど。片桐さんはもちろんうまいし・・・。村杉さんはいつも思うけどなんで声があんなに粘着質に聞こえるんだろうか。もう一種の才能だよなあ。松尾さんが信頼している役者だけで基本的には組んでいると思うんで、だるかったり切なかったり辛すぎたりするキャラクターが、「居ないのに、居そう」でさすがだなあとか。

うーんうーん、でも個人的には私はもうちょっと割ってくれた方が飲みやすいし好きというのが本音かなぁ。私に松尾ワールドは要らないって事なのかなぁ。むーん。

見終わったあと、ほんとに芯までグッタリ疲れた、という感じになったんですけど、松尾さんの後日談など聞くと本当に役者の方ももうすべてさらけ出しました!みたいな公演だったようで、そりゃ見てる方があれだけ疲れるのも道理、とちょっと思ったり。