「日の浦姫物語」

もうとっくに共演しているような気がしていた、藤原竜也大竹しのぶ実は初顔合わせ。説教聖と子連れの三味線女が語る「日の浦姫」の物語という枠組みの中で舞台が展開していきます。

最高の俳優と最高の演出家の組み合わせだし、禁忌を描いているとはいえどっぷりと悲劇に酔ったような話でもなかったし、むしろ全力で泣かせにかかるようなところで砕けてみせるところもあって、見る前の予想はかなり良い意味で裏切られた部分も多かったです。とはいえ、竜也くんはこの前のシレンとラギもまさにこういう作品だった、というのと、大竹さんも少女から男装からといったような役をシンベリンでやられていたというのもあって、既視感がどうにも先に立った感じは拭えませんでした。あの展開もまさにオイディプスだというのもあるし。

そこからもう一歩展開して「救い」のようなものを物語の二人の上には垂らし、その物語を語る説教聖たちの希望と孤独を浮かび上がらせてみせるところは個人的には好きな展開でした。

キャストの中で絶妙な佇まいで多くの笑いを生み出していたたかお鷹さん、よかったなー。家督を重んじる重厚な風格と、あの幼き兄妹に振り回される愛嬌がたまらない味でした。説教聖であり、この物語の語り部でもある木場さんと立石さんもうまいうまい。語り部としてもだし、物語の中で果たす役柄もそれぞれにインパクトがあってさすが。

展開が早く、それでいて具体的で重厚感もあるセットがすばらしかったなー。組み合わせが自由自在のパズルのように形を変えるのが見ていて楽しかったです。2階席はそういう楽しみもありますよねえ。