「目に青葉ヤマホトトギス・赤穂浪士」  夢の遊眠社

いやあ、なんちゅうかこのホンはさすがに難解でしたわ。野田戯曲中もっとも「訳ワカラン」と言われているだけあって凡人には場面場面を追うだけで精一杯、全体のストーリーもテーマもあったもんじゃなかったのですが、それでも面白いんだからやっぱ流石ですね。

エリートを演じた浅野さんは実にはまっていて、この人独特の「怪しさ」が全面に出ていました。ちなみに彼が36歳で(’91現在)野田さんより年上なのだということに気が付いたのがこの公演直後でまさに!びっくり仰天しました。だってだって、あんなに童顔なのだもの〜〜(汗)佐戸井さんは前回に続いて女装姿を披露して下さいまして、その可愛さは筆舌に尽くしがたいもんがありました。男装の麗人をやった羽場さんとのコンビは笑かしてくれました・・。羽場さんは今回も結構大役で、一作ごとに成長が伺えますね。彼のあのしなやかな体のセンはラストのスローモーションのダンスで見事に生かされていて、川俣さんとのペアは他を寄せ付けない美しさがありました。

衝撃的なシーンも多くて、壁が崩れるところや向井さんの死体(おいおい)、竹下さんの独白など、インパクトありましたねー。でもなんといっても赤穂浪士のテーマ(byNHK)をバックに、紙吹雪の中義士が登場するシーンの美しさと、ラスト、斜に野田さんに当たったライトが消えてゆくあの切なさが最高。川俣さんの台詞「もう出ますわ、この馬車」に収束してゆく悲劇が印象的でした。

    • 4月23日 2回目観劇/1階H列9番

劇中に出てきた「愛するものに差別をつけろ」ってセリフがじつはすごーい好きなのです。