「ゼンダ城の虜」  夢の遊眠社

小劇場界の旗手、押しも押されもせぬ第三世代のリーダー、17年間、常に刺激的な舞台を創りあげてきた、劇団・夢の遊眠社の解散公演。解散公演の作品は、野田秀樹さんのお気に入りである本作が選ばれました。まず何より残念だったのは、遊眠社作品の看板俳優、上杉祥三さんが出演されなかったこと。私としてはもう一度、野田・上杉・段田のトリオの揃い踏みを見たかった。

舞台の方は、難解なシーンもありましたが、隅から隅まで「遊眠社らしい」という言葉でしか表現できない切なさに溢れていた。これが最後。続けてゆくことは出来ないけれど、消えてゆくものに対する全ての真実の言葉にならないいとおしさがこの作品を貫いていたように思う。

ありがとう。あなたがくれたいいことを数えたら、きりがないよ。
上杉さんのはじけるパワーが好きだった。段田さんの飄々とした演技が好きだった。
山下さんの透明な声には涙したし、羽場さんの色気にはうっとりしたものだった。
浅野さん、佐戸井さん、田山さんのトリオは、いつも舞台を締めてくれていましたよね。
舞台が美しいものだということを最初に教えてくれたのも遊眠社だった。
ラストシーンの美しさと切なさと、みんなの極上の笑顔を胸に。

サヨナラ、遊眠社。

    • 09/23 F列27番

チケットの半券が2枚しかないのですが、大阪の楽日の27日にも見ました。できれば東京の楽日も見たかったのですが、さすがにお金もなく、第一チケットが取れませんでしたね。
後日ビデオとして発売された「ゼンダ城」には、その東京の楽日の模様が入っていて・・・最初に見たとき、家で姉と私でティッシュ一箱使い切るかと思うぐらい号泣しました。あれは、泣く。ずるいぞ野田。