「七月大歌舞伎」

  • 松竹座   4列16番

もうずいぶん昔(ほんとに昔)東京散策してたら歌舞伎座の前に出て、たまたま幕見の席があって、そこで何の気なしに見た玉三郎さんの「道成寺」が私の歌舞伎ファーストインプレッションなんだけど。その時あたし、寝ちゃったんだよね(笑)。で、あーあたし歌舞伎向いてないかも・・・と思っていたんですけど。

で、今回、はじめてちゃんとした席で(1等1階4列目)ちゃんと見た訳なんですが、いっやーーーー面白かった!ほんと正直こんな面白いものだとは思っておりませんでした。あの、ほんと歌舞伎素人な人は素人だからこそ最初は出来るだけいい席でご覧になることをオススメします。やっぱね、楽しいよいい席は。花道とかね、そりゃあ近い方が楽しいって。歌舞伎の魅力にとりつかれたあとだったらそれはそれでどんな席でもその席なりの楽しみ方ができると思うけどね。

昼の部を見たんですが、最初が「操り三番叟」。染五郎さんが操り人形をやってるんだけど所作がビミョーに細かくてうまい!!途中糸が切れたり絡まったりするとこがあってその時の仕草とかもわかりやす〜くやってくれてるのですごく面白いの。で、次が「慶安太平記 丸橋忠弥」。これは橋之助さんが主役で、歌舞伎でも最も激しい立ち回りがあるので有名らしいんだけど。これねぇ、全部で3幕(3場?)あるんだけど最後の3場目はもう立ち回りしっぱなしなんですよ。最初の2場にも勿論いろいろポインツはあるんだろうけど(つかあるんだけど、あたしが知らないだけで)もーとにかくその立ち回りがすごい!最初の方は正直「こんなゆっくりな立ち回りなのか!?」って思ってたけど、もう後半畳み込むような激しい立ち回りの数々!見てて「あー新感線がいのうえ歌舞伎っつーはずだわ・・・」と納得。だって、あの立ち回りって歌舞伎からもらってたな?っつーのがてんこもりなんだもん。刀すぱーん!って投げたり柱振り回したり飛んだり跳ねたりもう大変。戸板のやつとか思わず拍手喝采ッスよ。橋之助さんが目の前で見得切ったときなんか殆ど感動でした。

3番目が「封印切」で、これであたしが好きなのはおえんをやった福助さん。いろいろ他の人の感想とか読むと「下品だ」って評もあるらしいんだけど、あたしはまさにその下品さがスキ(笑)やはりうまく笑いをとる人に惹かれてしまう習性が。笑いと言えば八右衛門の染五郎さんもよかったなぁ。なんかちょっと出門を思い出してしまったりして。小技が効いているというか、間の取り方とかトーンの変え方とかがうまいよね。忠兵衛の翫雀さんもよかったなぁ。ちょっとお人好しな感じとかよくでてて。八右衛門に封印切って見せるとこが迫力!小判がさらさら〜っと手から滑り落ちるのとかものすごい劇的に作ってあるなぁと感心しました。

で最後が「身替座禅」。これに、私の今回の最も目玉と言ってもいい仁左衛門さんがご出演。浮気相手に会いに行くのに奥方がやきもち焼きでなかなか外に出してくれず、一計案じて家来に羽織を着せて身替わりに座禅をさせとくんだけどそれが奥方にばれちゃって、という話。仁左衛門さんはその浮気なご亭主をやってらっしゃるんだがこれがもうアナタ!可愛いの可愛くないのってもう可愛いんだよ!!最初に1年ぐらいヒマくれ(ってそれってどうかと思いますが)つって奥方玉乃井に一喝されてへにょ〜〜ん・・・と凹むとことかもう天然記念物並の可愛さ!だれか!保護して!早く!ぐらいな。浮気からへろへろ帰ってきて自慢話するところもすげーかわいい。しかも色っぽい!すっごいわ〜、こりゃおばさま方夢中になるわ。だってあたし思わず地団駄踏んだからね。かーわーいーっっ!!って。ほんと参ったよ。しかも奥方玉乃井をやった左團次さんがめっさ面白いの!!もう笑い取る取る!かっさらうかっさらう!みたいな。ほんとおもしろかった〜。もう大満足でございますよ。

この日はこのあと若手の役者さんによる「封印切」とかもあって、同じ日に同じ演目続けて見ると違いがすごくよくわかって面白かったり。何かとお得な一日でございました。オススメしてくれた七美さんに感謝!