「Don't trust over 30」

結構長くてたいへんよー、というようなニュアンスの前評判をあちこちで目にしていたせいか、心構えが出来ていたのでそれほど長くは感じなかったです(笑)前評判というのはしかし難しいね!良い評判を鵜呑みにしすぎると「それほどでもないじゃーん」になりがちだし、悪評散々聞いてると「そんなでもないよ?」だし、ホント善し悪しですよねって全然関係のない話だよ!

閑話休題
率直に言ってなんだかケラさんらしからぬ「地に足の着いてなさ」を感じてしまいましたです。台本を書き上げるのに苦労したとパンフで告白しているのもさもありなんというか。いままで見たナイロンの作品ってやっぱりもっとシニカルだったし、ああいう重い題材だってケラさんなりの消化の仕方があると思うんだけど、思いだけが先行して脚本の中にケラさんのその「平和への思い」というやつを生かし切れなかったような気がしたりして。今回はメンバー的にも歌えて華があって芸もあってな方々を集めているんだし、とうとう真打ち登場か、のミュージカルだし、もっとスパーッとはじけた世界を見せて欲しかったよな〜との思いは打ち消せず。ミュージカルとしての見せ場を作れていなかったのはちょっと致命的かな、と。

いつもナイロンの舞台を見ていると舞台の上の「冷気」がこっちにひんやり届くような感じがあって私はその温度感が結構好きなんですが、今回の舞台は舞台の上は熱いのに熱気は客席に届いていないようなそんなもどかしさも感じたりしました。

私も何曲かは耳にしたことのある鈴木慶一さんの歌とか、繰り返し出てくる「金魚鉢」の歌とか、ごまだんごとか(笑)、曲も歌詞も一風変わったのが多くてそれはとても面白かった。特に金魚鉢は最後の最後にたまが歌ってくれるやつが相当にイイ!やっぱり声に全然力があって説得力が違う〜〜。あと秋山菜津子さんのソロ「大変で行こう」と秋山さんとユースケさんのデュエット「距離のあるダンス」が個人的には好きかな。やたらあるフライングと歌詞のスライドはなくても良かったような。まあちょっと席が前の方だったんで余計そう思ったのかもしれないけど・・・。セットもかなり高さあるし、後方席の方がいろいろと楽しめるかもしれないですね。

主演のユースケさんだけど、告白するけどタレントとしてはまあどっちでもいいっちゃいい人なんですが、役者さんとしては結構スキなのね、まあテレビの中の話だけど(『眠れる森』の最期のシーンは凄いと思うのだ)。生で見るのは今回が初めてだったんだけど、やっぱし声も顔も好きでした。芝居をしているときはすごーく素直にいい男だよなあ。それに筧さんに似てますよね、ほんと(笑)この舞台もすごくキュートで、舞台を盛り上げてくれていたし良かったと思う。井上順さんはなんだか勿体ない使われ方だった気も・・・。秋山菜津子さんは期待通りの快演で素晴らしかったです。後半もうちょっと出番あってもよかったかなー。みのすけさんと村岡さんのコンビはすごく好き。みのすけさんは過去キャラでもいい味出していたし、不思議に声がよいし、なんだか沢山見れて得した気分。奥菜ちゃんは・・・うーん。可愛いんだけど、なんだかキレキャラとそれ以外の二通りしかないような印象があって・・・もうちょっといろんな部分が見えた方が良かったような気も。

しかし良いタイトルだよなーー。英語のタイトルってそんなにかっけー、とか思うやつ少ないんだけどこれは文句ナシに格好いい。と思ったらムーンライダーズの曲名だったんですね!な、なるほろ〜(笑)