「シンデレラストーリー」

  • シアタードラマシティ  13列14番
  • 脚本 鴻上尚史  演出 山田和也

多分この公演、多くの方が「なんだかいろいろ微妙だな〜」と思っていらっしゃるような気がするんですが(わ、私だけ!?)、結論から言うと思っているよりも微妙な出来ではなかったです(笑)・・・ってどんな言い方じゃ!
つまり、普通に面白かったって事です。はい。
ミュージカルとしてどうか・・・というのは、ミュージカル経験値極浅なのでよくわからんのですが、曲も結構良かったし、生オケ(これマジで驚いた)だし、王子さまとお姫さまはキラッキラだし、子供と大人が一緒に見に来て楽しめるものに仕上がっていたのではないでしょうか。

基本的に脚本は、シンデレラのストーリーの重箱の隅を自らつついてサイドストーリーを膨らませていくような感じですね。王子が政略結婚させられそうになってるとか、シンデレラは再婚相手の継母にいびられてるんだけど、気の弱い父親は出稼ぎに行かされてるとか。終盤まではマジでかなりうまく作ってると思う。でもあの結末っていいんですか!?いやいや、そんなんすぐバレるだろ!とツッコミたくなったのは私だけか。ここはお子さま向けファンタジーらしく愛の力で打ち勝って欲しかったが。経歴詐称て・・・(笑)細かいギャグとかをどこまで書かれてるのかわかんないけど、笑いもかなりふんだんに散りばめられてるのは個人的に嬉しい。もっとやりようによってはウケるシーンありそうなんだけど、それは今後の調整次第なのかなあ。演出的にも、ああここもっとあっさりやってええ、と思う部分があったのが気になるところ。特に閣下の出番のあたり。

主役のシンデレラと王子が二人でキラッキラの瞳でキラッキラの歌を歌うシーンがあるんですけど、すっごく二人とも可愛いのでこのシーンがなぜだか大好きです。普段の私なら「ケッ!」とか言ってケトバしちゃうようなシーンだと思うんだが(それってどうよ)、あまりにも二人の初々しさが眩しくてさ・・・。そういう意味では、このシンデレラと王子が恋に落ちる、という物語の肝に説得力を持たせることには成功していたのではないかと思うです。

王子をやった井上芳雄くんはエリザで拝見してはいるのですが、いやはや、ファンが多いのがわかるね。あのね、可愛いとかリアル王子さま!とか歌うまーい!とか足長!顔ちっさ!とか言う部分を抜きにして、なんだかそんなパーツ以上に人を惹きつける魔力のようなものをお持ちよ、この方は。私は個人的にはもっと毒のあるタイプが好きなのですが、タイプじゃなくてもちょっとうっとりするもんね。他の舞台も機会があったら見てみたいものです。ヒロインのちひろちゃんも可愛かったなー。歌はもうちょっと迫力出ると言うことないんだが。

そんなキラキラの主役二人を取り巻く脇の濃さったらもう!しかしね、今回の舞台、ある意味本当のヒロインは成志さんではないだろうか。すごい。場をさらいすぎです貴方。いえ貴女とお呼びするべきかしら。ミュージカルなのに歌でなく普通にセリフ喋るだけで拍手貰うって凄いぞ。ご本人も思う存分!って感じでやってらっしゃるので見ていて本当に楽しいです。成志さんと組んだ森若&宮地の姉コンビも期待通りの意地悪ぶり、そしてキレキャラぶり。さとしさんもかなりやってくれます。まず歌がうまいので(うまいというのも失礼だと思うんだが)最初っから聞かせてくれるし笑わせてくれるし。いい感じ〜〜。デーモン閣下は勿論歌も良くてキャラも立ちすぎでいいんだけど、魔法使いのシーンちょっっとうざい。もっと手際よくお願いしたい感じ。個人的にはチュウ之丞のキャラが好きです。父親はやっぱり・・・違和感あるっす(笑)

あと、シンデレラ、という物語が何でこんなに人気があるのかっていうのをパンフで書かれてるんだけど、頑張れば夢が叶うとかそういうのじゃなくって、単に「気持ちいいから」なんじゃないのかなあ?映画の「プリティウーマン」で、ジュリア・ロバーツが買い物断られた店に出直して「へっへん!」みたいなこと言うじゃん?あの気持ちよさがシンデレラの人気の秘密だと思うんですけど・・・ヒネすぎですかね・・・?