第三舞台VINTAGEBOX2「デジャ・ヴュ'86」

10年前の作品である「パレード」と較べても更に10年前である。いやもうある意味おそろしい。これ、出演している役者さんもちょっと気恥ずかしいだろうなあ。いやちょっとじゃないか。
とはいえ、確かに他の作品に比べて格段に画像レベルがおちるものの、20年前の作品がDVDになるってちょっと考えられないことである。テレビで放映したとかならともかく、20年前の作品が今初映像化されるってあたりが凄すぎだ。なのでこれぐらいの画像レベルは個人的には全然「アリ」である。というか、実はピスタチオのDVDBOXよりも画像レベルは上だったりして。

第三舞台の「デジャ・ヴュ」を見るのはこれがもちろん初めてなのですけど、その昔板垣さんが演出した「デジャ・ヴュ」*1を何度も何度もビデオで見ているのでバージョン違いを見るようで新鮮です。ちなみにその板垣演出デジャ・ヴュのキャストは

秋田=松重豊
北林=渡辺いっけい
伊集院=古田新太

という豪華版。あ、そういえばスズカツさんも出ていたな。
しかし秋田&北林の大高&小須田はやっぱり最強ですなあというのがなんとも正直なところ。大高さん、ご自身でも「自分のやった役の中でもかなり好き」と仰るだけあってものすごい存在感と説得力。この芝居のラストで北林が秋田の首を絞めるシーン、第三舞台'81-'91でちらっと見ただけでもあの小須田さんの目ヂカラにやられまくったが、通してみたらそんなもんじゃなかった。あーすごかった。

筧さんの伊集院はなんていうか・・・かわいい(笑)髪型のせいか?いやしかし、この伊集院はえーと、覚えたての言葉を使わせてもらうなら古田さんのほうが「ニン」であると思った。でもそこかしこに燃えたぎる「筧パワー」を感じるところもあっておお、ここから大きくなっていったのね、と思うと感慨深い。
さて、なんといっても楽しみだったのは名越さんである。いっやあもう、多分私実際舞台で拝見していたら大好きになっていたと思いますよ。すげーテンション!無駄な熱さ!しかし何とも言えないペーソスを感じさせるところが端々にあって良いです。なるほど、京ちゃんが「名越さんの持っていた『好き勝手に行く』って方向に行きやすかった」といっていたのもなるほどです。
「デジャ・ヴュ」は男の芝居、という感じだけれども、時不二子の山下さんはその中にあってきらりと光る存在。筧さんもすごく山下さんに助けられてる感じがする。
さすがに古さが否めないところもあるなあと思いつつ、でもそりゃー当たり前だっつー話ですよね。貴重なフィルムを残しておいていただいてよかったです。

*1:アツヒロくんや河原総代が出たやつではないです