12人の優しい日本人DVD副音声メモ

ようやく買いました。つっても買ったの先月ですけど。「噂の男」見に行ったときについつい「あ、売ってる♪」と思って買っちゃって、一瞬あとに「あたし明日から北海道行くんだった・・・」と気がついた大バカです。わざわざ荷物増やしてどうする。
WOWOWでの生中継版も持ってるんですけど、DVDになってるのはパルコで撮影されたもの。
副音声ですが、キャストの皆様が超多忙なので、どなたも捕まらなかったらしい・・・。というわけで何故かクリス智子三谷幸喜の二人副音声。印象に残ったお話をメモ。

  • キャスティングの柱になったのは2号生瀬勝久さん、11号江口洋介さん、9号小日向文世さん。2号を生瀬さんでやってみたら面白いかもと思ったのが再演始動のきっかけ。生瀬さんは異常に台詞に説得力がある。彼が喋ると本当に有罪に聞こえてくる。
  • 9号の小日向さんはもともと自由劇場をよく見に行っていたときのクールで格好いい小日向さんを皆に知ってもらいたかった
  • 11号の江口さんは初舞台だったので、いろいろこちらも新鮮だった。劇場入りして一番驚いたのが客席側の壁がないことだったとか。
  • 映像畑の人が皆言うことだけれども、「毎日同じことをやる」ことを不安に思うらしい。映像ではそれはありえないことだから。毎回毎回自分が新鮮な気持ちで演じることが出来るのか?と。しかしこれも皆が言うことだが、同じ舞台は一度としてないということがやってみるとわかる。特に今回は12人のアンサンブルだから、皆がそれぞれをフォローしたり、それぞれの掛け合いに深みが出てきたりするわけで、昨日と今日とでは全く違う。
  • 3号筒井さんも付き合いが長いが、本当に不思議な人。なにをやっても筒井道隆で、新選組でお殿様をやってもらったときも筒井道隆だったのだが、たとえばこれだけ舞台をやっていても、筒井くんはいつも、今、初めてこの台詞を言う、というような新鮮な空気が常にある。演技をしているような感じがまったくないが、でもちゃんとそのキャラクターになっている。
  • 6号堀部さんと8号砂羽さんは、この中で一番書ききれてない役。6号は自分が昔やっていたからで、8号は以前やってくれた斎藤清子さんのイメージで書いているからだと思う。砂羽さんのキャラで憎めない感じに仕上がってよかった
  • 6号堀部さんはご自身も構成作家をやっていたこともあってアイデアがすごく優れている。実際かなりの部分おまかせでやってもらった。
  • キャスティングで最後まで決まらなかったのは8号鈴木砂羽さんと10号堀内敬子さん。I LOVE YOU 愛の果ては?を川平さんに誘われて観に行って、その場で堀内さんを「これだ!」と見込んでオファーした
  • 8号砂羽さんは新選組!で初めてご一緒して、すごくいいなと思ったのでキャスティングした
  • ランニング姿になった温水さんはゴラムに似てる。あまりにも似すぎていてゴラム人形を買ってあげた。給水器の横に「有罪でも無罪だ!」と書いた紙を貼って(笑)
  • 1号浅野和之さんの過去を語る長台詞は、最初の台本よりも長くしている。浅野さんが凄く力のある人なので、ここの台詞をもうちょっと聞きたい、と思ってそうなった。皆、この浅野さんの長台詞ですごく心が動くと(役者さんが)言っていた
  • 12号山寺宏一さんは、台詞のリズムがすごくいい。和風のべたな感じがまったくない。声の仕事をされている方でいつも感心するけれども、どれだけまくし立ててもきっちり台詞が客席に届くのがすごい。
  • 結構このメンバーで飲みにいっていたようだけども、生瀬さんは一度も行かなかった。誰よりも台詞が多く家で自主練するということもあったし、お酒が飲めないということもあったし
  • 一回台詞飛びがあった。誰なのか名前は言いませんが!その時は浅野陪審員長の「おちついて!」の声でペースを戻していた。
  • 江口くんは終盤まくし立てる部分になると「やっとラクになれる!」と思うらしい。それまで、ただ聴いているだけだが相当集中していないといけないし、100倍ぐらい台詞を喋っている生瀬さんの間に台詞を差し挟まなければならないので緊張がハンパない。自分が主導権を握れる方が全然ラク
  • 筒井くんは「ジンジャーエール!」の台詞を楽屋裏でずっと練習していた。千秋楽までそれが続いた
  • 4号と10号だけが無罪を主張して激論になるシーンが稽古場で一番苦労したシーン。筒井くんの熱くなっている感じがなかなかうまく出なかった。実際の筒井くんは相当に喧嘩っ早い熱い男らしくて某大物演出家と怒鳴り合ったこともあるらしい
  • 芝居でその日どこで笑いが来るか、というのはその日の役者のコンディションや客席のコンディション、微妙な空気で違う。今までいろんな役者さんとやってきたが、その空気にもっとも敏感なのは伊東四郎さんだった。伊東さんは絶対にその空気を読み間違えない。
  • 江口さんは本当にかっこいい(何回も言った)
  • 江口さんがここまで言ったらもう無罪ですよね(かっこいいから)
  • この芝居の中で一番他人を説得しなければならないのは9号と11号と2号。この小日向、生瀬、江口の3人の共通点は「声が良い」ということ。声が良いというのはそれだけで財産。
  • この芝居の前に模擬裁判をやったけども、この芝居の議論以上に白熱した。誰が一番やっかいだったかって、筒井さんがこの芝居のキャラのとおりで、「何かわかんなけいど無罪!」って、そんな人をどうやって説得すりゃいいのかっていう。
  • ちなみに筒井くんはお菓子が大好き。いつも食べてる。
  • ラストの生瀬さんの演技については「もうもしかしたらこの議論は永遠に続くんじゃないか」と思わせるほど力を込めて欲しいとお願いした。それを聴く周りの役者にはもう怒りではなく、哀れみを出してほしいと言った
  • 最後の筒井くんが生瀬さんにお辞儀するシーンは、初演再演にはなかった。筒井くんのキャラだからこそ出来たシーン。気に入っている
  • 音楽はラストシーンにしか流れない。でも音楽があると尺が決まるので、シーンの進み具合を調整しなきゃいけない。最後に生瀬さんに声をかける堀内さんはやはりミュージカルを長くやっていて音に敏感なので、自分がどのタイミングで出てどれぐらいではければジャストかということを計算してくれてありがたかった
  • 2号に名前を聞くシーンは本家「12人の怒れる男たち」にもあるシーン。やはり本家あってこそのこの「優しい日本人」なので、どこかにオマージュを捧げる部分を入れたかった


2人副音声なので、三谷さん結構しゃべりっぱ。そういう意味ではよかった。っていうか轟天の時も思ったけどクリス智子さんに含むところは全くないが
芝居の副音声の仕事はもう受けないでもらいたい
と思います。ちょっと頓珍漢すぎてどうしようかと思う。「12人の怒れる男」の話を三谷さんがしているのに「それはなにに怒ってたんですか?」て!知らないのか。もうビックリするわ。三谷さんも「以外と何もご存じありませんね」と笑ってたけども。
三谷さんがとにかく話を進めて相槌を打つ役目になってからは気にならなかったです。
メタルマクベスの副音声司会が粟根さんでほんとううううに良かったって思うよ!