私が最初に井上ひさしという人を知ったのは本だった。母が好きでよく読んでいた、「モッキンポット師の後始末」。この文庫本を何度も何度も読んだ。「ブンとフン」「青葉繁れる」etc、etc。
- 作者: 井上ひさし
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1974/06/26
- メディア: 文庫
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私がお芝居を観るようになってからは、作家・井上ひさしの前に「劇」のイメージがつくようになった。執筆が遅れると皆、井上さんをネタにしてしまうほどの遅筆堂ぶり、観客側も、新作と聞くや「初日あたりは避けろ」と本気とも冗談ともつかぬやりとりをしていた。
思えば、私が芝居を見始めるそのはるか昔から劇作家として名を馳せ、そして今もなお一級の役者達を集わせて「新作」を世に生み出し続けていて、これからもそれを続けていくはずだったのだ。「木の上の軍隊」はとうとう未完のままになってしまった。
それほどたくさんの作品を拝見したわけではない、といいつつも充分に両手に余るだけの数の舞台作品を観ているのだなあと思う。そしておそらく、これからも観るだろう。作品は生き続ける。
幼い頃に触れた軽妙洒脱な文体で描かれるユーモア小説から、数々の名作舞台まで、本当に良い作品をありがとうございました。