「十二夜」

うーん!個人的には最後まで芝居の世界に入り込めずに終わってしまったという感じでした。何が、なぜ、といってもこれというところを挙げることができないんだけど、だって役者は好きなひとばかりだし演出家も好きだし音楽も生演奏で贅沢に聴かせてくださるし。しかし最後まで舞台と自分の間に幕が一枚かかったような状態のままだった。うーん。

御贔屓の「子どものためのシェイクスピアカンパニー」がかつてやった「十二夜」の感想をみてもいまいちパッとしないことを書いているので、そもそも脚本自体にのめりこめない要素があるのかなあという気もします。

いちおう喜劇、に分類される作品ではありますが、あえて笑いは封じ込めるように作られたかのような印象のままスタートし、そのまま幕が下りてしまったような。

海岸にある朽ち果てた舞台を使って役者(?)たちが十二夜の世界を出現させてみせる、というような外枠が見え隠れするんですけれども、十二夜の世界と、その外枠の世界が劇中の松さんの台詞で交錯するかのように見えるところがあって、そこはとても好きなシーンでした。

ヴァイオラとシザーリオを松たか子さんが演じてるんですが、松さんてわりと男性的というか、きりっとした佇まいの女性をやることが多いのではまり役だろうなあと想像していましたし、実際終盤には「これは相当難しいシーンだなあ」と思うところを力技で見せてくださっていて、さすが松たか子、というところだったんですけど、しかし、こうしてみると松さんて思いの外女性性が前面に出る役者さんなんだなあとも思ってみたり。

オリヴィア役のりょうさんはさすがに説得力のある美しさ。姿勢もよく、声もはっきり聞き取れて好印象。石丸さんと松さんのデュエットはさすがに美しかったですねえ。