「OPUS/作品」

  • 新国立劇場小劇場 C2列17番
  • 作 マイケル・ホリンガー 演出 小川絵梨子

弦楽四重奏団Lazara Quartet (ラザーラ・カルテット)は、ホワイトハウスでの演奏会が決まっているというのにメンバーの一人、ドリアンを解雇、急遽オーディションを行うことに。そこで選ばれたのはグレイスという若い女性。女の子が大好きなアランは大喜び。新しいメンバーを得たカルテットは、演奏会に難曲であるベートーベンの作品131を選ぶ。(公式サイトより)

舞台は中央、四方囲みのセット。冒頭は「ラザーラ・カルテット」のドキュメンタリー取材とおぼしきインタビュー場面から始まります。4人がそれぞれ質問に答えていく中でカールが言うジョーク、弦楽四重奏とは「ヴァイオリンと、ヴァイオリンになれなかったものと、ヴァイオリンに興味のないものだ」という言葉があとから振り返ってみるとこの芝居を端的に言い表しているよなあと。

カルテットの芝居なので、全員がそれぞれヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを演奏するシーンがふんだんにあるのですが、もちろん皆さん実際に弾かれるわけではないんですけど「それらしく」サマになっているのはさすが。まあ、左手はまったく動かないのでそこは気にしない方向で(めちゃくちゃに動かす方が却って気になるかもとは思った)。

才能というやっかいなものを持てる者と持たざる者。いや、ある程度は「持っている」がゆえの両者に横たわる壁と、羨望と,嫉妬と、そしてもちろん音楽への愛と。段田さんが実直ではあるが凡庸で、かつ自分でそのことを知っており、だからこそ「特別なヴァイオリン」に異様な執着を見せる人物をさすがのうまさで見せていました。あと個人的には近藤&相島のコンビニは滾りましたけどね、ええ。カーテンコールのときにふたりがハイタッチするのにもきゅえええええと声にならない喜びの声をあげていた私ですもの。それにしても加藤虎之介さんはどうしたのですか、いや芝居は問題ないですけどすごく…ぽっちゃりに…というかポロシャツがぱっつんぱっつんだったような…

上演時間も2時間でコンパクトですし、ぎゅっと詰まった見応えある芝居でした。紅一点の伊勢佳世さんもグッジョブ。セット的にバルコニーから見ても面白そうかなとは思いましたね。