「ライクドロシー」

うーむ。正直なところを書いちゃうとちょっとぴんとこない公演でした。それが脚本なのか演出なのか、はたまた東京で本多というサイズだった芝居をこの大ホールでかけちゃうことによるものなのか。だって本多の客席数386、刈谷文化センター大ホール1541。5倍だもの。無理がある!無理があるよ!

おとぎ話というか紙芝居のテイなので、舞台のうえにもうひとつプロセニアムな枠組みがあって、それが舞台の幅の、ほぼ半分、だもんねえ。そりゃ芝居が小さく見えてもしかたなかろうもん。

長澤まさみさんはちょっとそのコヤのサイズに合わせられなかった感じだったなあ。11列目って通路前だし、このサイズの劇場にしちゃかなりベストポジションだと思うけど、それでも声が弱く感じる。なんか常に上から目線でもの言ってるだけのキャラという印象しか残らなかった。あと、ナレーションが多い芝居、好きじゃないんす。

最後の最後、「いつだって兄を助け続ける」っていうフレーズはすごい魅力的だなあとおもったので、折角ならもっとサイズのでかいオチでもよかった。兄貴100人ぐらいいたっていいじゃないか。

一生くん、仁さん、塚地さんの「オズ・トリオ」は三者三様で見ていてたのしく、特に一生くんは目から鼻にまったく抜けない純朴キャラでそうとう可愛かった。可愛かったです。そしてやっぱりこういう座組では実感せざるを得ないけど、うまい。オーバーアクトにしているわけでもないのに、ちゃんとこっちに届いてくる感じあるものなあ。いちばん笑ったのは「詩人」役の彼が自作の詩を披露するんだけどそれがすべて車のキャッチコピーというところでした。でもサスペンションとか具体的な単語が出てこなければあれって相当抽象的な飾り文句なんだな…ってことも実感できて楽しかったです。塚地さんはやっぱり、場の空気というか客席の空気を察知する能力にすごく長けてるな〜という印象。的確に笑えるところをさらっていくのがさすがだなあと。仁さん、もっと酷薄な役でもよかったのにな。髪の毛ぴしっとしてああいうキャラやる仁さんわりと好きなので、もっと極端な方に振り切ってもいいのになーと思ったり。

なんだろうなー、どこかこの芝居の背骨みたいなものが感じられなかったのがいまいち集中できなかった要因なのかなという気はします。