「スパイダーマン:スパイダーバース」

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第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞受賞作!ディズニーの牙城を崩して!すごい!全米公開後から絶賛の声やまず、日本公開を楽しみにしておりました~。

漫画(コミック)とアニメーションって同じものを描いていても表現だったりカタルシスの見せ方だったりは違ってあたりまえですし、アニメーションの方向性としてはCGの登場によって、よりリアルに、より3次元になってくるというのが流れの一つとしてあると思うんですけど、今回の作品の何がすごいって、最先端の技術で「コミック」に近づけてるってこと!吹き出しで表される心情、コマ割りのようなシーンカット、スパイダーセンスの表現方法まで、まさに「コミックを読んでいるかのような感覚」を映画を見ながら味わえる。しかも、コミックを読んでいるようでありながらその映像が「見たこともない」ようなものの連打って、もうまずそれを見るだけでもひとつの大きな体験だなーと。

そこにきて物語の構成がもうむちゃくちゃキマってて、オッケー!じゃあもう一回説明するね!というテンションで語られるスパイダーマンオリジンのエッセンスが、物語が進行するにしたがって重層的になっていき、最後にもう一度繰り返されるときには最初と違う意味に聞こえてくるっていう、ハイ私の大好物でましたーーーーって感じでした。

それぞれの平行世界のスパイダーマンたちそれぞれが魅力的で、なかでもピーター・B・パーカーの絶妙なしょぼくれ感、でも何かを捨てたわけじゃないという絶妙な立ち位置のキャラクターと、主人公であるマイルスのピュアさがむたくたいいコンビで、あの2人でスゥイングをするところとかなんともいえない高揚感があってよかったです。またマイルスがあのトイショップで買ったスパイダーマンのコスプレ用衣装を着てるのがさ、めっちゃいいんだよね…。

ピーター・パーカーのそれとはもちろん違うんだけど、スパイダーマンになるための通過儀礼はしっかり描かれてて、マイルスが受けたショックの大きさが観客にも伝わってくるし、その葛藤の先で最初は「ひっついちゃって!とれない!」ってゆってたコが自分の力をコントロールして覚醒して皆を助けに来る…ってほんと「俺らが育てたコがなあ」みたいな感慨を観客まで共有しちゃいますよね。キングピンは私にとってはドラマで見ていたデアデビルヴィランのイメージが強いんだけど、ドノフリオさんのやってたキングピンはあれ、コミック的にも相当いい線いってたんだな!ってことを思ったり。平行世界への扉をこじ開けようとするキングピンの求めるものが切ないのがまたいい。

このマイルスが実写スパイダーマンの世界に飛び込んでくるっていう未来もあるのかな?あったらいいなーと期待しちゃいますが、ともかくアニメーション新体験として特筆すべき作品でしたし、見ている間その体験の斬新さにしてやられまくる気持ちのいい時間でした。面白かったです!