「十二月大歌舞伎 第二部」

「心中月夜星野屋」。今月は第二部星野屋に七之助さん、第三部傾城反魂香に勘九郎さんなので、昨年春のこんぴらを思わせる流れ。七之助さんおたか、照蔵に中車さんの顔合わせはそのまま、今回は母お熊に猿弥さんという、もう顔ぶれからして間違いないと太鼓判を押したくなる。

3度目?の上演ということもあって、すっかり手の内に入ったという感じの安心感、そこに猿弥さんのどんどん笑いを上乗せしてくる縦横無尽ぶりが加わって、気持ちよくワハハワハハと笑って終われるのがすばらしい。おたかとお熊がしたたかであることは間違いないけど、それを言ったら最初に女の心を試そうとひと芝居うつ旦那もしたたかなわけで、この狐と狸の化かし合いぶりが楽しいし、最後にどっちもちょっとだけ痛い目を見るというオチ(落語が元ネタだから、ここはサゲと言うべきか)も個人的には好きなところ。

中車さん、去り際に「death!」をやってくれたんだけど、そのときの客席の沸きようたるや。出のときの期待感といい、歌舞伎座でもしっかり「客を連れてくる役者」になったなあとしみじみしました。