「パーム・スプリングス」

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予告編見た時に「ループものじゃん!おもしろそう!公開されたら見に行こう!」って思って、これそのまま忘れるパターンかもなって思ったんですけど今回忘れなかった偉い。監督はマックス・バーバコウ。何と本作が初監督作品とのこと!

恋人の部屋で目を覚ますナイルズ。朝からとりあえずコトに及ぼうとするが未遂のまま。どうやら2人はうまくいっていないらしい。恋人がブライズメイドを務める知り合いの結婚式にアロハシャツで参列し、妙に場慣れした空気感を醸すナイルズと、花嫁の姉として浮かない顔で結婚式に参列するサラ。ナイルズはサラを誘い、ふたりは会場を抜け出し、さあこれから…というところでなぜかボウガンの矢がナイルズに突き刺さる!

ループする世界にいる男とそこに引っ張り込まれた女が「明日に行けない」世界で繰り広げるロマンティックコメディ。面白かったです。ナイルズは何回あの11月9日を繰り返したんだろうな。その前に自分が何をしていたか忘れたというのが口から出まかせなのか、それとも本当にそうなりつつあるのか。その世界を分かち合うサラがいて、このまま、あしたもきょうと同じ一日の繰り返し、どこにも行けないけれど、けっして回復不能なまでに傷つくことのない世界でいたほうがいいのではないか…っていうナイルズの気持ちわからんでもない…と言いたいところだけど、いやいやわかんない、わかんないよ。そりゃ一歩踏み出せばそこで回復不能な悲劇が襲い掛かるかもしれんけど、そして先が見えない世界はこわいけど、でもわかってる世界よりはぜんぜんいいでしょ。

そう考えると、こわさって生きてるってことの裏返しでもあるんだなと思ったな。ナイルズの世界にはこわいものがないものね。なかった。サラがくるまでは。サラがきてから、サラがいなくなることがこわくなった。

サラはできることなら11月8日からやり直したかったかもね。もしもう一度チャンスがあったら2度とあんなことしない、というような最悪な日の朝じゃないですか、サラの11月9日って。でもだからこそ、あの朝を永遠に繰り返すなんてまっぴらごめんだと思えたのかも。何にも蓄積されないが、唯一自分の中にだけは経験を蓄積していける、ってことを最大限生かすサラ、むちゃかっこいい。演じているクリスティン・ミリオティはあれだね、モダン・ラブの第1話の彼女だね!ちょうキュートだった~

J.K.シモンズがまたいい味だしてて、あの家でロイとナイルズが話すシーンよかった。アンディ・サムバーグ、魅力爆発してたな。いや、それにしてもこの物語さ、なんか「あれ?あの人も『繰り返している人』なのでは…?」みたいな演出がなかった?あと!あの恐竜のシーン…!あれをちょっと解釈しかねてて、いやむちゃくちゃ好きなファクターなんだけど、あの恐竜もループをしてたってこと?なのかな?いやとにかくあの夜の砂漠のシーンはむちゃくちゃよかった。最後の見せ方もすごくスマートですばらしい。楽しかったです!