「パークビューライフ」

岡田惠和さんが脚本で風間俊介くんが出る、しかも上演時間1時間30分の会話劇というのでチケットを取ってみました。観に行く予定にしていたのは25日だったんですが、緊急事態宣言の発令が25日からと発表され、25日やれるかもしれないという一部情報もあるにはあったんですが、もう先に見ておくしかないと23日金曜日の当日引換券をまさに当日の昼に購入して足を運んできました。

新宿御苑を望む一等地にあるマンションの最上階で、だけど家族もなく友人もなく誰ともかかわることなく絵だけを描いて暮らしてきたひきこもりの男の家のルーフトップバルコニーに、女性3人組が屋上庭園と勘違いしてやってくる。聞くともなしに不法侵入3人組の話を聞いていると、どうやら彼女らは地方からこの東京に出てきて、今日が東京最後の夜らしいということがわかる。男は思い切って彼女らに自分の家に住むことを提案する。

ある意味現代のおとぎ話というか、ファンタジーだなあ…という側面が強い感じがあったかなー。あまり、洋にも望にも香苗にも玉枝にも生々しさを感じなかった。もちろんそういうふうに作ってあるんだと思う、あえて。洋が最初は自分を同性愛者だと偽り、その偽りが苦しくなって告白するときの一連のせりふがこの芝居においてはいちばんのキモなのだと思うのだけど、しかし「男とか女とかそういうのを越えて」っていう台詞を女がすんなり飲み込むには、その人間関係にそれなりの積み重ねがないとね…と思うし、まあそれを言ってしまうと自分らが不法侵入した家の男に誘われてそのまま居ついちゃうっていう筋書き自体がファンタジーだもんな…ということになっちゃう。男女1対1だったらまた違った見え方だろうけども。

望たちが洋に見つかってから居直る展開がうぎゃーと思うほど苦手で、いやさっさと謝れよ…と思ってしまった。なんでしょうね、ああいう展開見てて楽しめないんだよね。

かざぽんはこの布陣では頭一つ抜けたところがあるというか、ファンタジーをぎりぎりリアルに見せることに成功しているのは彼の腕によるところが大きいような感じがありました。独白も聞かせる力がすごい。あと前田亜季さんもよかったなー。このおふたりはなんというか、重力が感じられる役作りで、それがこの舞台においては大いに力を発揮していたと思います。