「モンタナの目撃者」

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テイラー・シェリダン監督。「ウインド・リバー」が面白かったし、何気に豪華キャストなのでフラっと見に行ってきました。おもしろかったなー!

森林消防隊でリーダーを務めるハンナは、山火事での「風」の読みを誤り、その際のトラウマで不安定な精神状態にある。見張り塔での監視任務を命じられたハンナは、ひとりの血まみれの少年と遭遇する。実は彼の父親は大規模な汚職事件を暴き、命を狙われて逃亡してきたのだった。

ウインド・リバーでもそうでしたが、消防隊や保安官、そして殺し屋に至るまで、その「仕事っぷり」を見せるのがシェリダン監督むちゃくちゃうまい。そしてこの人の演出するアクションは派手さはそれほどないけど重さがあるというか、痛みがあるというか、実戦!という感じがするのが良い。

平地での雷の怖さ、火の怖さ、そして追ってくる情け容赦ない殺し屋二人組の不気味さ、そういうものが過不足なく描かれることで最後まで物語の緊張感が薄れず、同時にハンナと少年は二人で逃げながら、この関係を構築することでふたりともがどこか再生していくのがわかるのもよかった。

地元の気のいい警官(保安官)とその妻、妻は妊娠中で、ターゲットはその家を訪れようとしていることがわかっていて…という展開がくると、この「妊娠中の妻」を見舞う展開読めた、となるところですが、この妻がむちゃくちゃ理にかなった強キャラだったのがすばらしい。夫(バーンサルさん!)との「殺したか?」「ええ、ひとり」のやりとりよかった。

しかしニコラス・ホルトエイダン・ギレンを殺し屋コンビにしようとした人はすごいな。Wiki見ると名字が同じだけど、劇中の雰囲気では血縁があるようには見えなかったし、たぶんない(そういうふうに描いている)。このふたりがまったく露悪的じゃないのに、市場で魚を売るようなテンションで殺しをすませていくのが妙にリアリティがあって、それがクライマックスでの緊迫感にも奏功していたなと思います。