「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」


監督&脚本はジョナサン・ゴールドスタインとジョン・フランシス・デイリー。予告編を映画館で見たときには「またこの手のドラゴンがどうこういう名作実写化のファンタジーもの…それもう見たってなるやつじゃん…」と正直思ってたし原作のゲームも全然知らない子ですね…な人なので、クリパさん出てるしな~と思いつつもスルーの予定だった。が!公開されるとトマトメーターもバリ高だわ見た人の評判もいいわでそうっすか?そんなに言うなら!と足を運んできた。いや~面白かったです!!一敗地に塗れたやつらの「お前が雑魚だと思ってる連中の力、見せてやろうじゃねえか!」魂が好きな向きにはぐりぐりの二重丸でおすすめだ!

繰り返しますが原作のゲームをまったく知らないので、サースとかハーパーとかの単語は勿論、種族の名前も(私の中のファンタジー素養が指輪物語しかないので)ついていけない部分がなくはなかったんですが、映画を楽しむための情報は端的かつ的確に与えてくれるので、原作を知らないことが観る楽しみを削ぐような部分はまったくなかったです。

窃盗により服役中のエドガンとホルガは、恩赦のための面接の場を利用して脱獄に成功する。エドガンは故郷に残した娘を訪ねるが、昔の窃盗仲間であるフォージが領主の座に座り、エドガンの妻を生き返らせるための魔法の石板を手中に収めているだけでなく、娘の耳に父親の陰口を吹き込んでいると知る。石板と娘を奪い返すために仲間を集めるエドガン。しかし、フォージが手を組んだ魔法使いソフィーナには実は別の思惑があった。

映画館で見たときに近くの席に外国人御一行様がいて、マジでいろんな台詞で一生ウケてたのでこれ吹替えで見た方がニュアンス伝わりやすいやつなのかも!?と思ったな~。剣!魔法!龍!というお約束アイテムはありつつも、かなりの部分オモシロに振っていて、そのオフビートなパーティの様子が心地よかったです。

エドガンもホルガも、自分が依るべき集団を離れた過去があって、エドガンは妻を亡くした痛みを一生背負ってて、サイモンとドリックもそれぞれ居場所を求める人生を送っているわけだけど、暑苦しく仲間仲間と連呼するわけではなく、でもそれぞれの信頼が実を結ぶ瞬間もちゃんとある。なにより、すぐにプランB、プランCを唱えるエドガンが皆に失敗ばっかりじゃないかと詰られて言う、「失敗し続けるのをやめたら本当に失敗になってしまう」って、あまりの名セリフすぎてぶっ刺さりまくった。ほんわかパーティでも、オモシロにベクトルを振ってても、こういう芯を食った台詞を放つべき時に放てる映画は強い。つーかクリパさんはさあ、ワンウーの「僕は今日を救う。きみは世界を救え」もそうだけど、マジで名言名台詞請負人じゃんすか…。

中盤のキーアイテムである兜の捜索に力を貸してくれるゼンクの、完璧超人すぎる聖騎士ぶりも最高でしたね。セクシー大爆発だったけど、これもちゃんと面白成分忘れてない。去り際のアレめちゃ笑いました。ゼンクの加わったあの兜奪回シークエンス、墓場の会話から始まっておデブちゃんドラゴンとのバトルもむちゃ見応えありました。

ダンジョンズ&ドラゴンズだけあって、迷路も龍もちゃんと出ます!な展開もよかったな~。あの迷路でのバトルからラスボス戦までの展開、一気呵成の畳みかけで、かつちゃんとカタルシスも用意されてて胸がすくやつ。ドリックはアウルベアでビッタンビッタンするところが最高に好きなんですが、中盤の次々と変身する動物を変えてソフィーナから逃げるあの一連!蠅から鼠、鷲、鹿とあの手この手で、こういう能力って「チートじゃん」となりそうなところだけど、こういう緊張感のあるシーンにしてるのさすがですね。

ミシェル・ロドリゲスもすごく良かった。彼女の昔の旦那役でブラッドリー・クーパーがシレっと出ててマジでびっくりしたわ。カメオ出演だったとあとで知りました。くーぱんちゃんマジでかわいくてホルガが未練を残すのもむべなるかな…と思ったぜ…。ヒュー・グラントはもうこういう役、ご本人もわかって楽しんでやってる節ありありよね。「胡散臭い」をここまで体現できるのさすがっす。日本でやるなら池田成志さんしかいないと思う(断言)。

最後の展開もベタといえばベタ、でも王道でもあって、まんまとぐっときちゃった私だよ。最初はちぐはぐでも、最後には「またこの仲間に会いたい」と思えるかがこうした映画の成功の鍵なのではないかと思いますが、まんまとそういう気持ちにさせられたな~!楽しかったです!