「リア王」

段田さんがタイトルロールを演じるということで、段田さんのリア王ならちょっと見てみたいかな~と思い足を運んできました。例によってあまりキャストを把握しないまま観て「あれっこの人も出てるの!?この人も!?めちゃ豪華じゃん!」と客席で気がつくパターン。いやほんとに豪華なキャストだったな。

いわゆるクラシックな衣装やセットではなく、ほとんど素舞台に簡素なセット、衣装も現代的、ただし脚本はそのまま。こうした演出ならではの効果があったかというとちと微妙なところではあったかも。衣装を現代的にすることによって「今」とのリンクがもう少し見えてくると違った味わいがあったかもだが。

ゴネリルとリーガンが江口のりこ田畑智子とハマりすぎたキャスティングで、父王を追い出すあたりの悪辣さはドンピシャではまってましたね。リア王を見るたびにこれいちばんしどころのある役ってエドマンドじゃないかと思うんですが、今回エドマンドを玉置玲央さんがやっていて、二枚舌のエドマンドを生き生きと出現させていてとてもよかったです。

あと個人的に今回の舞台の白眉は段田さんと浅野さんという元遊眠社コンビが、リアとグロスターとして共演していること。あの「人は皆泣きながらこの世に生まれてくる、阿呆ばかりの世界に引き出されたのが悲しくてな」という名場面中の名場面、リアが盲目となったグロスターの肩を抱き、傘をさしかけて語り掛けるあの場面が見られただけでもう満点だよー!となりました。

ところで、このところ立て続けにSkyシアターMBSにお邪魔しておりますが、今回は前方段差なしフラットなE列でしかもほぼど真ん中という席でした。結論から言うと、舞台ツラでの芝居はむちゃくちゃ迫力をもって楽しめるが、フラットな舞台で椅子に座るとか屈むとかされると角度によっては完全に前の座席の頭とかぶり視界から消えるという感じ。途中「ゴネリルどこー!声はすれども姿は見えず」みたいなところもあったり。高さのあるセットであれば気にならないと思いますが、この劇場で舞台全体を楽しみたいと思ったら中盤からやや後方のほうが吉かもしれません。