「鴨川ホルモー、ワンスモア」

万城目学さんのベストセラー「鴨川ホルモー」とスピンオフの「ホルモー六景」をヨーロッパ企画上田誠さん脚本・演出で舞台化。このメンツ、むちゃくちゃ京都!京都要素の濃さ!せっかくなら関西公演は京都であってほしかったぐらい!

原作未読ですが、実にコンパクトに、かつそれぞれのキャラを立たせた群像劇になっていて、さすが上田誠さんだなあとまず感心。「オニ」を使って戦う「ホルモー」という競技に青春を費やす若者たち…って、そもそも「ホルモー」が何かイメージつかむのが難しい(これは原作読んでても同じかも、何しろ実在しない競技だから)けど、演劇って意外とこういう「ないものをあるように見せる」ものと相性いいよね。

やっていることは陰陽師の末端の末端のようなことながら、それでも大学生、恋に落ちるし敗れるし、引きこもってすねちゃうし、大人になったらなんであんなことが恥ずかしかったんだ?って思うことが死ぬほど恥ずかしい、そんな青春も同時にそこにあるっていうのがキャストのフレッシュさもあいまって実によく舞台に現れていたなと思います。最初はぜんぜん意味が通らなかった冒頭の土手での彼らの会話が、ラストにもう一度繰り返され、「ホルモーってなんなのか…少しはお分かりいただけたのではないかと思う」と締めるところ、おしゃれすぎて唸っちゃったよ。

京大立命館京産大龍谷大とくれば関西人なら「あれ同志社は?」となるところですがちゃんと同志社の役割も振られてて納得だったなー。あの各キャンパスあるあるみたいなネタは絶対関西の方がウケてたんじゃないかと。

拝見したのが意図せず大千穐楽で、カーテンコールに全キャストの一言挨拶があったんですが、こうしてみるとかなり幅広い年齢層のキャストだったんだな~と思ったし、にも関わらずちゃんと皆舞台のうえでは「京都なら存在していてもおかしくない不思議大学生」に見えていたんだなと改めて思いました。かもめんたる岩崎う大さん、連続して上田誠作品でお見掛けしていますが、独特の声とトーンがあって役者としてすげえ武器だなと見るたび感心しております。