「マッドマックス:フュリオサ」


2015年に公開されて大ヒットした「マッドマックス 怒りのデスロード」の登場人物であるフュリオサの前日譚を描く作品。監督はもちろんジョージ・ミラー

緑の地で育ったフュリオサは、ある日その地に足を踏み入れたバイカー集団に攫われてしまう。緑の地の場所を明かさないという誓いを守り、目の前で母親を惨殺されたフュリオサは、バイカー集団を率いるディメンタスへの復讐の想いを抱く。ある日、ウォーボーイズと行き会ったディメンタスはシタデルに乗り込み、イモータン・ジョーに取引を持ち掛け、フュリオサは取引の材料としてジョーの手に渡される。

前作は絶対悪としてイモータン・ジョーという存在がありましたが、今回はディメンタスというもうひとつの軸が加わり、かつディメンタスがあまりにも猟奇的かつ刹那的なので、自分に都合のいいものばかりとはいえ一定の秩序をシタデルで維持しているジョーがマシに見える部分があり、これは作劇としていいのかどうかちょっと迷うところ。ジョーの悪辣さは前作で描いているとはいえ、今作は今作でやっぱりディメンタスとの比較でみてしまうので、そうするとジョーのキャラ立てが弱くなるような気がしてしまいました。

アクションシーンはいずれも素晴らしく、次から次へとアイデアが出てくるのがすごい。アクションとして映えるという点で、大画面で見た甲斐あるな~!と思わせる絵力大爆発の連打で本当にジョージ・ミラー、79歳とは思えぬフレッシュさ。

ディメンタス、凶悪の上にも悪なので、マジでこいつがどういう最期を迎えるのか、それを見届けるまでは死んでも死にきれんぞ!と思うほどでしたが、まさかああいうラストとはねっていう。演じたクリヘムさん、グッドルッキングガイぶりすらおぞましく見える猟奇ぶりで、はあ~~~こいつ心底きらい~~~としか思えなかったですけど、あのくまのぬいぐるみとか見ると、あいつはあいつですべてをどこかで失って、でも死ねない葛藤とかがあるんだろうなと感じさせるキャラではありました。でもきらいだけどね!

警護隊長ジャックとフュリオサとの魂のつながり、あのブレットファームでの超絶アクションも含めてとてもとてもよかった。一方で最終局面の進行がちょっぱや過ぎて、ディメンタスがいかにして追い詰められたのかのあたりちと唐突にも思えてしまったな。

前作もそうでしたけど、本当に台詞が極端に少なく、フュリオサも必要最小限の台詞しかない。ディメンタスはわりとああだこうだ口にするタイプではあったけど、そのセリフの少なさは物語全体のスピード感と直結してるよなあと思いました。

個人的にはシンプルでかつカタルシスのあった前作を超える印象は持てなかったものの、映画館で観たいという気にさせる作品でしたし、2時間半飽きさせずぐいぐい絵力で物語を引っ張る手腕はさすがの一言でした。