「Meilleure Soirée」THE ROB CARLTON 17F

タイミングが合えばできるだけ見ようと心がけているTHE ROB CARLTONの新作本公演。いやーーーーめちゃくちゃ面白かったです。すばらしすぎてうっとりした。東京公演も終わったのでネタバレ全開で感想書きますが、ぜひこの劇団名と作家名を頭にとどめておいていただいて、今回チャンスを逃した方も次回はぜひ足を運んでみて下さい。

Meilleure とはフランス語で「最高の」という意味。つまり最高のソワレ。入場時に劇中劇として演じられる「男たちの番か?」のセブンイレブン発券風チケットを貰え、かつロビーにも「男たちの番か?」の上演ポスターが貼られているという手の込みよう。

全体として大きく3つのパートに分かれており、「男たちの番か?」のマチネ公演(第二幕)、マチソワの間の役者たちのおしゃべり、そして「男たちの番か?」ソワレ公演。チラシにも「彼、舞台の上で寝ているじゃない!」という惹句が書かれているので、誰かキャストが寝てしまう展開になるんだろうなとは予想できるのですが、そこに至るまでの構成とそこからの展開、見せ方がとにかくうまい。うますぎる。シチュエーションコメディとしては三谷幸喜の色合い、前半をほぼすべて「振り」に使う構成の大胆さはシベ少の土屋亮一を彷彿とさせて、いやその組み合わせで面白くないわけある!?面白いに決まってるでしょうが!!

前半に演じられる「男たちの番か?」の騙し騙されも普通に面白いんですが、後半、ソワレの舞台上でとあるキャストが寝てしまい(寝てしまうことへのフリもしっかりある)、そこから舞台上のキャストが「心の声」と「役としての台詞」をシームレスに同時進行で喋っていく、これがまずすばらしいアイデアですよね。でもって、設定としても「全員が関西人キャスト」であるがゆえに関西弁を喋る、ということがマチソワの間でわかるんですが、心の声、つまりモノローグを喋る時って演劇独特のお約束があったりするでしょ?照明が変わるとか、隅っこのほうに行って客席に向かって身体を丸めて喋るとか(小劇場病だよ!)。そういうお約束を「心の声の方は関西弁ですんで!」っていうワンアイデアでほぼフラットに台詞とモノローグを両立させてかつ混乱しないの、すごないか。やってることが高度すぎる。

最初にマチネ公演で顛末を観ているから、観客も「ひとり寝たまま」でどうこの場を乗り切るのかのハラハラ感があり、かつその乗り切り方に爆笑しちゃう、その連鎖が最後の20分間ぐらい、これでもかと畳みかけられるんだからたまったもんじゃないです。腹割れる。いや本当にしこたま笑いました。途中の展開で舞台上にはいない「音響さん」の存在が増していくのもなにげにめちゃくちゃうまい構成だよなあ。最後はなんだか観客もキャストと同様に「やりきった感」に満ち溢れる気持ちになってましたね。

前にもブログで書いた気がするけど、私が作品を「いい」と思う一番のポイントってやっぱりアイデアなんですよね。それは私が予算の少なさをアイデアとなんかよくわからん気合いで乗り切ってきた小劇場畑で育ったからという気もしますが、脚本でも演出でも、他と一線を画すアイデアのある作品が好きなんです。この作品はそうしたアイデアがあって、ひたすら笑って、100分でスパッときれいに終わる。マジで理想的な観劇でした。本当に面白かった!