「ファインディング・ネバーランド」

2017年に来日公演があり、幸運なことにその時の上演を観ることができたのですが、それが本当に本当に本当に掛け値なしにすばらしく、芝居を観てあんなに滂沱の涙を(比喩ではなく)流すことなんかあるだろうかってぐらい涙をしぼりとられた作品だったんですよね。その上演の際には、すでに2019年に日本版のプロジェクトで上演が予定されていて、主演も石丸さんでアナウンスされていたんですが、それが「権利上の問題」により上演中止に。今回の山崎育三郎さん主演による上演は「脚本と楽曲はそのまま」「演出は一新」されるとのこと。どうやらオリジナルプロジェクトがワインスタインカンパニー絡みだったのがこのすったもんだの要因ではないかという話。

やっぱり2017年に観た公演があまりにも深く心に残りすぎているというのもあって、どうしても特に演出面で物足りなさを感じてしまう部分があったのは否定できないかな~。とはいえ、この物語において自分の一番のキモである、現実のどうしようもなさに向き合う方法のひとつとして物語を与えてあげるという部分にはどうやっても心つかまれるものがあり、改めて好きな話だなと実感できたことはよかったです。とかいって、その「物語をあげる」という部分において、ラストシーンの演出はやっぱりちょっと惜しいよなーーという気はしますな…まああれはオリジナル版が大正解を叩き出しているのでしょうがない部分もありますが…。

楽曲のよさもこの作品の大きな魅力ですよね。なんでこんなに全部の曲がわかるんだ!と思ったけど6年前にサントラ買って聴き倒してたからだったはっはっは。テーマ曲のNeverlandは言わずもがな、ステージ上のゴーストライトにうかぶ影が印象的なWhat You Mean to Meも好きなナンバーだし、StrongerやPlayの盛り上がりも楽しかったな。

濱めぐさまの間違いのなさ、安定感は見ていてうれしくなっちゃうレベル。あと驚いたのが子役4人の達者さ!とくにジョージ役だった子、発声も立ち姿も完全に抜きんでていて(歌もうまい)、栴檀は双葉より芳しとはまさにという感じ。子役苦手なわたしが彼らの登場を待っちゃうんだから相当です。大きなもふもふ犬はもふもふすぎて最初きぐるみかと思ったよね!

できれば今後「権利上の問題」がいい方向に解決して、オリジナル版の演出での上演とかできればいいのにな~!と希望もこめつつ!