「マチルダ」

  • 梅田芸術劇場メインホール 1階8列40番
  • 脚本 デニス・ケリー 音楽・歌詞 ティム・ミンチン 脚色・演出 マシュー・ウォーチャス

エストエンド発の大ヒットミュージカルを日本オリジナルキャストで上演。これ原作はロアルド・ダールなんですね。
すごく評価の高い作品だというのは漏れ聞こえていて、ただ私がどうにも子役を苦手としているところがあるんで、けっこう迷ったんですが、まあ迷った時には見ておけっていうよね!(そうか?)ってことで足を運んできました。

あらすじとか何も知らずまっさらな状態で観たので、意外な展開もありつつ、歌で気持ちよく圧倒されるシーンもあって、自分で予想していたよりもずーっと楽しめた感じです。

気持ちよく観られた要因のひとつは、子どもたちが徹頭徹尾「反抗する」てことで連帯してることにあった気がします。マチルダはいわゆる「ギフテッド」な子どもとして描かれていて、そうした子どもを描くときの常として子ども同士の対立ってあるあるじゃないですか。そういう子は主役に対峙することになるからどうしてもヒールっぽくなっちゃうし。でもこの物語においては、ミス・トランチブルというヒールどころではない、圧倒的ヴィランが存在していて、そういう意味ではマチルダはスーパーヒーロー(ヒロイン)の役回りでもある。思えば、冒頭の「Miracle」の歌の時にも、バットマン、スーパーマンスパイダーマンワンダーウーマン…と子供らはアメコミスーパーヒーローのコスプレをしてましたもんね。

チルダがハニー先生から初めて一人の人間として尊重されて、思わずハグをするところ、あとなんといってもRevolting Childrenのナンバーがめちゃくちゃよかったです。耐えてるだけじゃ何も変わらない、子どもが子どもらしくあることを取り戻せ、というナンバーはさすがにアツい。子供の頃にこれを観たら知恵熱出ちゃうぐらい惹かれちゃうだろうなと思わせるパワーがありました。

最後の展開、あんなたった一言の呼びかけで絆されて親子の情とか言っちゃうの!?とハラハラしたけど、ただ情をかけただけでちゃんとお別れしたのでよかった。やっぱり家族よね血よね血だわエンドだったらどうしようかと思っちゃった。

私の観た回の大人キャストは大貫勇輔さんのミス・トランチブル、昆夏美さんのミス・ハニー、ミセス&ミスター・ワームウッドは大塚千弘さん&斎藤司さんのコンビでした。大貫さんのトランチブル先生よかったなー。あと、舞台美術がすごく印象的。どこか絵本のような、本に取り囲まれた空間を感じさせて、これも原作のテイストを活かしているのかな~と思ったりしました。