「LOST SEVEN」 新感線

多分今、もっとも「飛ぶ鳥落とす勢い」な新感線の新作公演。チケット競争がかなり激しかったんですけど、やっぱりいまノリにノってる証拠なんでしょうかね?

久方ぶりに羽野アキちゃんがご出演で、彼女を真ん中にどーんと据えた芝居にする!ということで書いた物らしいです。ストーリーは「白雪姫と7人のこびと」の後日譚ものといいましょうか、倉橋由美子的に(あそこまでダークじゃないか・・・)味付けした物語でした。「白雪姫」での悪役、お后クイーンロゼの娘がアキちゃん演ずるところのレッドローズ。昔、スノーホワイトを助けてクイーンロゼを倒した勇者(ゲリラ7・笑)に京さん・橋本さん・明星さんたち。対する鏡の魔族の頭脳に小須田さん、それを補佐する将軍に粟根さん。まず、新感線なのにあの!古田御大が出ていないのにも関わらず!ここまで見せ場が盛りだくさんだっていうのが、ほんと新感線でかくなったなぁと思わずにはいられないですよね。もちろん、京・小須田・明星の客演トリオの力もでかいんですけど。

うん。でまあ、もちろん楽しかったし、身を乗り出して見てしまったし、全然満足してるのですが、いまいちキャラクター一人一人が胸に迫ってこなかったのだす。見せ場たくさんあって、格好いいんだけれども、心情がいまいちハッキリしないのでのめり込めない部分があったというか・・・・。もちろん新感線にそれを求めるか?とか格好いいんだからそれでいいじゃん!っていう考えもアリだと思うし、あたしだって京さんと小須田さんが喋れば「きゃーー第三舞台コンビーーー」とか、河野くんと京さんが立ち回れば「新旧アキラ(わかる人わかってください・笑)の対決ーーー」とかって喜んでたんでまあえらそうに言うことじゃないかもしれないんだけど。お前こそがめちゃ術中はまっとるやんけ!って感じだし(笑)。

粟根さんとかね、すごく格好良くておいしくて、もーーミーハー心煽りまくりの長髪で、立ち回りのたびに「やめてーーこれ以上(髪を)なびかせないでーー壊れるからーーー!」って言いたくなるぐらいドキドキさせてもらったんだけど、ただ結局ハインリッヒって人はわからんまんま、というか。あそこでいったんロクゾンに戻ってみせる必要あったわけ?そりゃおいしいけどさ。じゃあ冒頭でレッドローズ殺そうとしたのは何でなんだ、とか。テムラーとの間にあった空気は何だったんだ、とか。それは粟根さんのハインリッヒだけじゃなくて京さんのタンロウもそうだし。「怖くなったら飛んでしまう」ことを最後乗り越えるくだりをもうちょっとちゃんと見せて欲しかったなぁ・・・っていうのもあったし。

そういう意味では今回一番舞台の上で光ってるなぁと持ったのは明星さん演じるホセイかなぁ。あたしは殆どの場合舞台の上で男しか見てない(おいおい・笑)んだけど、このあたしが明星さんから目が離せなかったもん。ブレーメンの音楽隊相手にするところ、マジ鳥肌たった。つーか惚れた。パンフで、京さんがホセイのシーンで泣けたと言ってるって書いてあったんだけど、ほんとそう思う。あたしもあそこは特に理由もないのにこみ上げてくるものがあった。そういうのがね、いのうえさん言うところの「空気」ってものじゃないかと思うんですよ。それが今回ねぇ、あたし的にはちょっと足りなかったかなぁ、と思う。

って文句ばっかいいやがってじゃあ何で2回も見てんだよ!って言われそうだよな(汗)いやでもね、本当に面白かったの。全然お金払う価値のあるもの見せてもらったなーと思ってます。小須田さんのクールで熱い台詞回しを聞けたし、粟根さんはシリアスも背負いながらきちんと笑いどころはおさえる巧さを見せてくれたし、京さんはいつものあのおっきいスタンスで駆け回ってくれて、キレのある立ち回りをやりきってくれたし。前述した明星さんはほんっっっっと格好良くて・・・・カーテンコールの時「みょーせー!」って叫びたくなったぐらい。やってないけど。みんな自分の役所見せ所を完璧にわかってて本当に今波に乗ってるよなぁ、と思う。だから、私がこんな風に言うのは、まあ贅沢といえばこれ以上贅沢なものもないんですけど。でも波に乗っているからこそ、下手したらトラウマになっちゃうような凄いものを作れるんじゃないか、っていう期待があるのです。だから・・・・・あの、みんな怒んないでね(笑)



これは1回目を見終わった後に書いたやつなんですけど、2回目の時はですね、1回目よりかなりぐっときたんですよ。実をいうと。なのでこれも書き直そうかなぁと思ったんだけど、でもやっぱり基本的に感じることは同じかなぁと思ってそのままにしました。コモンとハインリッヒの対決シーン良かったなぁ。それにしても明星さんはカッコイイ。うん。
そうそう、4日の日はカーテンコールが場内アナウンスが流れてもやまなくて、羽野アキちゃんが挨拶に出てくれたんですけど、2000年は新感線20周年だってことで、秋にはお祭り的なものを考えておられるそうです♪楽しみーー!

  • 12/04 B列6番

  

京さんももちろんめちゃめちゃ格好良かったですが、私にとってこの舞台のヒーロー(ヒロイン)は明星さんのホセイです。あのシーンはいまだに焼き付いてる。「十字架は十字架でも、この十字架には父の魂が眠っている!」最高。歌も良かった。あ〜本当にいつか戻ってきてくれないかしら、明星さん・・・