「アラジン」

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往年のアニメーションの実写化とどまるところを知らずのディズニー、ガイ・リッチーを監督に据えて「アラジン」を実写化!ガイリッチー監督個人的に波長が合って好きなんですけど、ここんところボックスオフィスで苦戦が続いてたのでちょっとハラハラドキドキしておりましたが、無事大ヒット!おめでたい!おめでとう!

しかし1992年のアニメーション映画自体にはさほど思い入れがないというか、いや実際見たことあったか?あったかな?ぐらいの薄い記憶しかない私。それよりもA Whole New Worldがその年のアカデミー賞で主題歌賞獲ったなーみたいな周辺情報の記憶のほうがまだ残ってる感じです(なにしろあの「ボディガード」の楽曲を抑えての受賞)。「アラジンと魔法のランプ」の物語自体はそれこそ子供の頃に読んだと思うので、大まかなストーリーは勿論知ってるんですけど、しかしジャファーを何故か王の弟と思い込んでいた私(悪事を働くのは大抵王の弟というシェイクスピア脳どうにかした方がいい)。

ファースト・トレイラーが出た時は、ジーニーが昨今のがっつりCGじゃなくて「まんま青いウィル・スミスじゃん」という声があったりしましたが、結局のところそれが奏功したって感じですよね。ウィル・スミスやっぱすごいや。スクリーンのこっちからでもウィル・スミスのジーニーにぐんぐん物語の中に引っ張り込まれるのを感じるし、むちゃくちゃ高揚感をもたらしてくれる。あれが例えばモーションキャプチャーで作られたキャラクターだったら、この巻き込み力はここまで発揮されなかったのではって気がします。

もともとのアニメーション映画の持つ「名曲」という最大の武器をきっちり使いこなしていて、へたにこねくり回さず真っ当に楽曲の良さを堪能させてくれたのがよかった。アリ王子のお通りよかったなー。あそこ思わず拍手したくなっちゃいますよね。A Whole New Worldも王道の演出で気持ちよく浸れました。一方でちゃんと今へのアップデートもされていて、その最たるものがジャスミン王女の「スピーチレス」だと思うんだけど、抑圧に抵抗するジャスミンっていうのがちゃんと元のキャラクターに沿っているんですよね。とってつけた感がぜんぜんない。楽曲もいいしナオミ・スコットの歌も素晴らしいし、ほんとここは実写版の名場面!アラジン役のメナ・マスードの愛嬌のある佇まいも絶妙で、あのアリ王子になってからの板についてなさ!ジャムのやりとり最高でしたよね(宝石の「ジェム」を噛んじゃう感じなのかな)。

歌、ダンス、派手な魔法、動物たち、そして絨毯!魔法の絨毯私のイチ押しです。可愛すぎんか。地上でのチェイスシーン、空中戦、もちろんロマンス(でもやりすぎない)も揃っていて、盤石かよ~~という楽しさでした。もう一回見たくなる!

「獣の柱」イキウメ

2013年に「まとめ*図書館的人生(下)」として上演された作品を改訂再演。例によって今年はスケジュールがギチギチなので「再演は後回し…」と最初は予定に入れてなかったんですが、これも東京公演観た方がすげーよかったすげーよかったというので結局我慢できなくなり、ギチギチの中大阪公演に駆け込んだという…このパターン今年何回繰り返すんや…。

イキウメの大阪公演といえばお馴染みのABCホールじゃなくてブリーゼというデカめのハコだったので、どんなもんかな?と思いましたが特に違和感もなく。とはいえやっぱりもう少し小さい劇場の方が劇的効果は高いだろうなー。

6年前の上演からかなり変えていて、といっても6年前のディティールをそこまで鮮明に覚えているわけじゃないんですけど(当時の感想はこちら)、それでも「あ、かなり違うな」と認識できるぐらい大幅に展開が変わっている印象を受けました。黙示録的な話の筋立てや、終末観としては今回の方がよりわかりやすくなってますよね。しかしその終末とのキャラクターたちの絡ませ方は前回の方が私の好みだったかも。いや、それはおまえ前回のラッパ屋の造形が好きなだけだろと言われてしまうとぐぅの音も出ませんが。いやだってあのラッパ屋魅力的すぎましたもん。あんなん成志さんにやらせて爪痕残らないわけないでしょって感じです。

安井さんやっぱり抜群の存在感。うまい。前半の絶妙な「軽さ」で物語の展開を主導していくとこが、ほんと他では代えがたい味だよな~と思う。浜田さんは一見「普通のお兄ちゃん」なのに、ヒュッと「人外スイッチ」みたいなのが入るのが毎回すげえなと思う。イキウメの役者陣はそれぞれ手の内に入ったパターンの役がちゃんとあって、でもそれだけじゃないプラスアルファが各公演ごとに楽しめるのがいいし、劇団の強みだなーと思います。しんぺーさんのラッパ屋夫婦、あれはあれできっちり物語をかき回してくれるし、絶妙なノイズ感があってさすがでした。

前田さんの作品で一番好きなところは、この「獣の柱」もそうだけど、演劇で「大いなる虚構」を描こうという意思が一貫しているところで、そこは他になかなかない得難さだなーと作品を拝見するたび思います。今秋のプロデュース公演も何とか都合をつけて観に行きたい!

三谷かぶき「月光露針路日本 風雲児たち」

タイトルの読みは「つきあかりめざすふるさと」。三谷幸喜さんが幸四郎さん、猿之助さん、愛之助さんとタッグを組み、歌舞伎座で!新作!すごい!作品はみなもと太郎さんの「風雲児たち」から大黒屋光太夫の物語を一本の芝居にしたもので、三谷さんは「風雲児たち」からこれでドラマを一本、芝居を一本創り上げたわけですね。最初のドラマがよくなかったらこの話もGOが出なかったかもしれないし、実績って本当大事ですね。

幕府の方針により「一本マスト」の帆船しか許されなかった江戸時代、江戸へ向かう途中で嵐に遭い、帆柱を切って転覆を免れたものの、あてもなく洋上を漂流することになった光太夫たち一行。その彼らがまさに波乱万丈の果てにもういちど「ふるさと」を目指す物語を描いています。

大きな舞台をひとりで背負って立つことが出来る役者をこれだけ揃えて、しかも脚本を書いているのは三谷さんで、そりゃもう最初から最後まで退屈なんかさせるわけない、という感じ。しかし、この中では圧倒的に三幕が面白く、その最後の清涼感が観劇後の体感をかなり占めているのではないかという気がします。なんで三幕がいちばん面白いか考えると、最も大きいドラマである庄蔵、新蔵との別れを歌舞伎の文法で見せているっていうのがやっぱり大きいと思うんですよね。

ちょっと前に三谷さんが新橋演舞場で「江戸は燃えているか」をおやりになりましたが、三谷さんは劇作の腕は疑うべくもないんだけど、演出家という意味では花道のある劇場との相性がそれほどいいとは思わないんですよ。どうしてもあの奥行きを「物理的」なものにしてしまいがちというか(そういう意味ではいのうえさんの花道の使い方のうまさは天性としか言いようがない)。でも歌舞伎における花道ってそういうものじゃないじゃないですか。で、筋書で三谷さんがあの別れの場面は完全に歌舞伎俳優たちに任せた、と書いてらっしゃるのを見て、そうだよなー!と思いましたし、その目論見はまんまと当たっているなと。

そしてラストシーンに至る幸四郎さんの独白、居並ぶ面々、向こうに見える富士の山、というその最後がやはりあまりにも鮮やかで、その鮮やかさは劇中コメディリリーフのようにも見えていた小市のキャラクターからの積み重ねによるものに違いなく、こういうところはまさしく三谷さんの冴えという感じがしました。

とはいえ、個人的には三谷さんが歌舞伎を書くのだとしたら、こうした有為転変を描くよりも、たとえば文楽作品として書いた「其礼成心中」のようなもののほうが三谷さんならではの爪痕が残せるような気がするなーとも思いました。勘三郎さんも以前「世話物を書いてもらいたい」って仰ってたけど、その気持ちわかる。三谷さんの戯曲のよさを「花見の場所取りのうまさ」と野田さんが評したことがありましたが、たとえば歌舞伎の古典作品の、「そこでは描かれなかった人物やものごと」に焦点を当てるようなものをぜひ見てみたいし、そういうものを書かせたら当代一だと思うんですよね~。

幸四郎さんは今回、常に前向きのエネルギーを失わない「陽性」の人物で、幸四郎さんの面白いところは根っから陰性のキャラクターもその逆も普通に「ナチュラルボーンそういう人」みたいに見えてくるところ。あとあの不思議な高揚感をもたらす長台詞がそれぞれの幕切れで冴え渡っておられましたね!猿之助さん、もう手首をひとつキュッと返すだけで客の視線を惹きつける、歌舞伎「味」をみせる、ほんと華がありますわ。エカテリーナの堂々ぶりもさすがだったし、なんだかんだ幸四郎さんとロシア式あいさつを交わす役だし、なんかもう世界は猿之助さんを中心に回ってる気がしてくる。愛之助さんの演じた新蔵、ロシアに残った本当の理由を明かすあたりで「うあ~ここまで厭味っぽさ出してきて最後にそれ!惚れてまうやろ!」ってなりましたし、前半の若干憎々しさのある部分も含めてはまってたなーと思います。あと、鶴松くん、それほど出番があるわけではないけど、やっぱりめちゃくちゃ芝居心があるよね。少しのシーンでもちゃんと心に残る居方ができてるつーか。

八嶋さんは三谷作品における「いつもの八嶋さん」ではあるんだけど、それをやる場所は「いつもの」ではないわけで、客も「いつもの」ではないわけで、それでもこうして「いつもの」八嶋智人で真正面から向かってきてしっかり仕事をしていく、ほんっとハートが強い。私はまあどっちかといえば「三谷さんたちのいる方」から歌舞伎を見に来るようになった客なので、八嶋さんの奮闘ぶりになんかもう、心から声援を送りたくなったし、あの歌舞伎座の舞台で万雷の拍手を浴びてる姿に思わずぐっときちゃいました。

「六月大歌舞伎 昼の部」

「寿式三番叟」。これ見たさに慌てて戻りチケット買いましたよ…幸四郎さんがブログで書いてくださってなかったら気がつかないとこだった!昔猿之助さん(当時亀治郎さん)と新橋演舞場でおやりになったときに拝見してむちゃくちゃ興奮したんですよね。今回は幸四郎さんと松也さんのコンビ。

久しぶりに拝見して、寿式三番叟の何がこんなに私の心をとらえてるのかって、振りがカッコイイってとこなんだな!というのを実感しました。「和ボレロ」とでもいいましょうか、同じ場所を旋回しながら高みに昇っていくような。なんか恍惚たる気分になりますよね。でもって、まあどうしても考えちゃうのがこれ勘九郎さんにもやってほしい、ってことなんですけど、筋書見たら昔勘三郎さんと富十郎さんで踊られたことがあるのね!鷹之資くんととかどうですか!ねえねえ!(私利私欲まみれ)

「梶原平三誉石切」。石切梶原、久しぶりに見ました。たぶん15年前ぐらいに仁左衛門さまがおやりになったのを拝見したと思います。吉右衛門さま、このところぐっと奥に気持ちを秘めたお役を拝見してたので、それに比べるとこの梶原平三は気持ちが前に出てくる場面も多く、表情豊かな芝居ぶりを沢山拝見できたのがよかった。しかし演目としてはあまり好きではないのだ…そりゃまあハッピーエンドではあるんだけど!そして二つ胴の試し斬りってマジでこわすぎる(と前回も思った)。

「封印切」。仁左衛門さまの忠兵衛、昨年暮れに南座で拝見いたしましたね。今回は1階席で見たのでいやーいろいろ眼福だった。ほんとうに見れば見るほどその若々しさに驚くし、近くで見てもより一層若く華やいで見えるって本当にどんなマジックよ。忠さん忠さんてみんなが贔屓するのももっともだよ。しかしこれも演目としてはいまいち好きではないのだった…。今回八右衛門は愛之助さん。悪くなかったけど、ついに忠兵衛の心の堤防を決壊させてしまう「わしは金のあるのが因果、お前は金のないのが因果、金のないのは首がないのも同じ」というあの一手にもう少し他を圧する強さが欲しいところ。そのあとの仁左衛門さまのあの金を出す手つき、己の未来が手から滑り落ちる金のように崩れていくあの表情、二百両、ビックリするな、まだあるわィという言葉と裏腹の絶望感、いやー絶品でございました。

「黒白珠」

脚本家も演出家もキャストもガッチリ手堅い、何より河原さんが演出なんだしそんなヘンなものにはなんないだろう…ということで足を運んできました。以後、かなり終盤の展開までがっつり書いているので、これからご覧になる方は回避が吉です。

見終わった後に、これ見方によって「ミステリ&親子愛のマリアージュ」とも見れるけど、同時にめちゃくちゃホラーにも見れるなって思ったんですよね。ホラーっていう喩えが適当じゃないのはわかってるんだけど、なんかあえてホラーと呼びたい。

舞台は長崎。幼いころに母が家出して、父に育てられた双子の兄弟。奔放な兄とまじめな弟。ふたりの母親は父の弟と駆け落ちしたと周囲では噂されている。双子の兄はその失踪した父の弟に瓜二つで、まことしやかにもう一つの噂が聴こえてくる。あの子の本当の父親は…?

あらかじめ提示されていたあらすじと若干テイストの異なる展開になってましたね。もっと兄弟の確執をゴリゴリ抉るのかと思っていた(愛される兄と愛されない弟的な展開はまあ、ほぼなかった)。遠い過去に失踪した母が戻ってくるが、その母は病に倒れ記憶が混濁していて、その失踪した過去に何があったのか…が物語を引っ張るカギになっているので、ミステリぽさはある。

いや、それで何がホラーだなって思ったかっていうと、途中で父が述懐するじゃないですか。あれが正しいことだったのかわからない、俺はあいつからすべてを奪ったのかもしれない…。いやホントその通りで、でも最後、弟とのわだかまりも解けて、なんとなく談笑して食卓を囲むみたいなラストシーンになったので、えー!って思ったんですよ。確かにあそこで母親が「約束」って言って「あたし逃げたの」っていうのは良いシーン。でもそこに乗っかって終わるのか!っていうのが驚いた。あの母親は夫の弟にひどい目にあわされただけでなく、生んだばかりの我が子と別れ、やり直すチャンスもなく、びくびくしたまま日々を暮らし、挙句の果てが脳溢血で記憶が混濁して何もかもわからなくなって終わりとか、えー!ってなりませんか。殺人犯にしたくなかった…って、いやそれはあなたのエゴだししかもこの最大の真相を明らかにするチャンスも見送って終演なのかよという。母親の立場から見たら完全にホラーでしょうよというね。

実の父が誰なのかなんてことより、育ててくれた人のことを信じろ的な台詞があって、それは勿論真理なんだけど、どうせ書くなら「自分が兄弟から母親を奪った」ことを告白して、そこからのことを観たかったぜと思ってしまいました。

こういう話をしんねりむっつりやるんじゃなくて、ちゃんと軽快さを残してるのは河原さんぽさだし、観客としては助かるところ。風間杜夫さんはさすがのうまさ。風間さんと村井さんのふたりのシーンなんてわたしのおじセンサーがびんびん鳴りまくってたいへん幸せでした。松下優也さん、どこかで…?と思ったらメタマクの元きよしだったのね。あの時とはまた違うタイプのキャラクターで面白かったです。植本さんや平田敦子さんはどこで拝見してもちゃんと爪痕残しててさすがだなーと思いました。

「神と共に 第一章:罪と罰」

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ツイッターのTLで「おもしろかった!」というツイートを複数見かけてそっか~んじゃ近くでやってたら見てみよっかな~と思ったら近くでやってるどころじゃなかった(やってなかったんですよ)。そこで諦めるか意地でも見るかつったら意地に傾きがちな人生を送ってきましたので、大阪へ行く道すがら岡山で下車して映画見てくるっていうトリッキーなことをしてしまいました。韓国で大ヒットを記録した映画だそうで、間もなく公開予定の「因と縁」とあわせて二部構成とのこと。監督はキム・ヨンファ

イヒヒ、めっちゃ面白かったです。イヒヒと笑っちゃうのは「これもう1本あるのか…イヒヒ…」とほくそ笑んでるのだと思ってください。地獄を巡る、といううすぼんやりにもほどがある前知識だけで臨みまして、「地獄八景亡者戯」みたいな話なのかな?とか予想してみたりしたけど当然ながら違いました。冥界で受ける七つの裁判のエンタメとしての見せ方がすごいし、最初は紛うことなき貴人、生まれ変わり待ったなし!と思えた消防士が、裁判のたびに玉ねぎの皮をむくようにいろんな側面が出てくるのが話の本筋をきっちり引っ張っていて140分となかなかの長尺ですけどだれることがなかったです。母と弟がかれの「冥界での裁判」に絡んでくるところ、あの最後のシーンも、いやもう私こういうので泣いちゃう年齢なんスよ…という感じ。最後の裁判で閻魔大王に「生前にできなかったこと死後にやろうというのか、十分に時間があったのに」と言われるとこ、いやもうよくある台詞っちゃ台詞なんだけど、このシチュエーションで言われると刺さるにも程があるっていうね!

そして何といっても!この映画の魅力は地獄で死者を弁護&警護する3人の使者の魅力が大爆発している点です!ヘウォンメーーーク!!!もう、無駄に呼びたい。あのシーン最高でしたね。ハ・ジョンウさんもチュ・ジフンさんもロングコートなびかせて長物ぶんぶん振り回してカッコイイことこのうえない。ドクチュン役のキム・ヒャンギさんがまためっさかわいいんだ…この3人のバランス本当最高。下界の様子を探りに行くカンニムがドクチュンには「お前ならできる」っていうのに、ヘウォンメクには「お前は何も考えるな」とか言っちゃうのむっちゃ好きです。ヘウォンメクはヘウォンメクで、あと2人で49人の生まれ変わりを達成するってところまできてるのに、ジャホンの過去を知って、この裁判は負けだ、潔くやり直そうぜ、1000年なんてすぐだろとか言っちゃうのときめく以外のなにものでもないっていう。

しかも第二章の「因と縁」では使者たちの過去が?明らかになるとか?ならないとか?ぎゃーんもう早く見たい。うずうず。

岡山にあるシネマクレールって映画館で見たんですけど、シネコンじゃない映画館久しぶりで、なかなか雰囲気あって朝イチから気合入れて見に来たぜ!みたいな人ばっかりですごくいい時間が過ごせました。また来てみたいな!

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」

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監督マイケル・ドハティ。「ゴジラ」、「キングコング 髑髏島の巨神」に続くモンスターバースの3作目。この感想でのっけからこう書いちゃうのもなんなんですけど、個人的に巨大生命体にはなんつーかこう…特にときめかないタイプなんですよ…巨大建造物にはときめくんだけど…(巨像大好き人間)しかしなぜか劇場で皆勤してる!なぜなのか!多分ストレスたまってなんか派手な映画が見たい!ってときにちょうどやってるんですよね。でもってその欲求は毎回満たしてくれるんですよ。

世界各地でモナークが密かに隠していた「怪獣」の繭が目覚め、あるいは目覚めさせられてそれぞれのガチンコバトルになっていくんだけど、その直接のきっかけとなったエマ・ラッセル博士の言い分が完全に紫芋ゴリラ…失礼、サノスとおんなじ理屈なのが笑いました。そしてこれは前作も思ったんだけどなんで「コントロールできる」と思うんだろう!それがいちばん不思議よ。

怪獣のビジュアルとしては圧倒的にギドラが好きでした。途中で首ちぎれちゃった…と思ったらまた生えてきたのでおいおい無敵じゃねーかよとなりました。ギドラとゴジラのぶつかり稽古すごかったですね。オキシジェン・デストロイヤーは出てくるわ、いったん斃れたゴジラを水爆で喝入れるわ、いやなんかもう…すげーな?ってなったし、大味っちゃ大味なんだけど、なんかこの映画にはそもそも大味を磨きにかけてますが何か?みたいな妙な迫力があって納得させられちゃう感じがしましたね。

渡辺謙さん演じる芹澤博士の顛末もなかなかに…なかなかだったけど、アルゴに乗船してるもう一人の博士、リック・スタントンを演じていたのがあの!ブラッドリー・ウィットフォードで、私にとってはいつまでもジョシュ・ライマン次席補佐官(@ザ・ホワイトハウス)なんですけど、これがなかなか味のあるキャラクターでしかも大活躍していて私は嬉しかった!いや、映画では顔をよくお見かけするのはするんだけどね(ペンタゴンペーパーズにも出てたし)、でもこういうちょっとマッド寄りで口数多くて…ってキャラはあんまりなかったから嬉しかったです。

しかしモナーク、相当手広くやってたけど、資金源はどこから出てるんだろ?政府?それにしても資金が豊富すぎへん?などと思いながら見てました。モナークのひとたち、完全に怪獣マッドな人たちばかりで、こわい!でも見たい!こわい!でも殺したくない!みたいな二律背反に悶えてるの面白かったです。いや面白かったですとしか言えんよね…。最後のほうマディソンを救え大作戦になるのもいまいちよくわからんかった…いやエマとマイクが捨て身で突進するのはわかる…あとオルカを欲しがるのもわかる…けどあんな大規模作戦をあの状況で取る意味とはというか。

ラドンはあの豹変ぶりからネットで「ゴマすりクソバード」呼ばわりされてて、でもあまりにもパンチのあるネーミングなので「えっそんな?」と思わず見に行く背中を押してくれるし実際見たらその通りじゃねえかよ…ってなるし、とはいえ旋回して戦闘機叩き落としていくとことかかっこいいし、いいキャラでした。好きです!でもギドラ先輩のほうがもっと好きです!

次はコングvsゴジラらしいんですけどいやーちょっと想像つかない。レジェンダリーどこまで行くのかしら…!