「新・タイムトンネル」  ザ・コンボイ・ショウ

  • シアタードラマシティ   10列11番
  • 作・構成・演出   今村ねずみ

本公演は通算3回目のコンボイ。そして今まで見た中で一番面白かった、今日のが。舘形さんがやめたという試練のあとで出来た作品がこれだなんて、ねずみさん凄すぎる。

最初にコンボイを見たのはこの「タイムトンネル」の初演だったんだけど、その時のストーリーを全く覚えていないんですよ。でもパンフを読み返してみると、今回同様父親達の話にはしているみたいで。うーん、覚えていない(笑)。ストーリーはねずみさんの夢の中で、コンボイのメンバーの父親達が出てくる。その中にはもう亡くなった方もいれば健在でらっしゃる方もいる。そのコンボイのメンバーの父親達が、息子達に負けないショウを作ろう、息子達に負けない夢を見よう!といって後半の怒濤のショウタイムになだれ込んでいく、という筋書き。多分ねぇ、初演よりも筋書きをシンプルにしているんじゃないかという気がするんですよ。想像なんだけど(笑)。それがすごく私にとっては良い方向に働いたというか・・・集中しやすかったですね。

舘形さんがやめたというのはねずみさんにとってすごい傷だと思うのね。それを観る私も念頭に置いてみているからかもしれないけれど、メンバーのおとうさん達に向かってねずみさんが言う「みんなのことを考えていたらあなた達にたどり着きました」というセリフや、「前回やったときは8人だったから」というセリフがすごく痛く響くんですよ。それは言ってるねずみさんも痛いと思うんだ。他の役者さんはみな自分の父親になる訳なんだけど、男の人がさー、どこまでが真実かはわからないけど、仮にも自分の父親をやるってかなりフクザツっていうか・・大変なことだと思うのね。どうしても自分がどこかに反映されているわけでしょ?野田秀樹じゃないけど親って影響受けてない人いないし。だからセリフの一つ一つがものすごいリアリティを持って迫ってくるんだよなー。29歳で亡くなった徳永さんの父親が、あの月よりも大きな夢を見ましょうと語るねずみさんに、自分は29で死んだけど息子はもう30まで生きている、御の字じゃないですか、俺は息子の背中を見ながら夢を見てやるんだと叫ぶシーンはどうしようもなく泣けました。

後半はコンボイお得意の(笑)歌ありダンスありコントありのショウをこれでもか!とばかりに魅せてくれて、右近さんとねずみさんの石松のシーン、ねずみさんのアドリブには大受けでした。あと、黒須さんと徳永さんと石坂さんのタンゴ!しかも女装(笑)石坂さんの足があまりにもキレイで見とれたわーーーー。ジュリさんはあんなに男前なのにどうしてあんなにおかしいのだ!でも確かに宮尾すすむにも似ているが。今回のショウのクライマックスは全員で太鼓を叩くんだけど、これがもう、何とも素晴らしかったです。石坂さんの太鼓を叩く姿があまりにも格好良くてどうしようかと思ったもん。やっぱなーーー、日本男児は太鼓だよな。惚れるっつーか・・・抱いて!って感じ?(笑)あと、橋本さんだったかなぁ、途中で天を仰いで叫んで気合いを入れていて、それ見た瞬間もう涙涙。やっぱりあたしは舞台に「人間の迫力」を感じたくて来ているんだなと思いました。そしてそれを余すところなく感じさせてくれていましたね。

ラストのねずみさんのモノローグ、「僕は忘れません、僕たちが生まれる前に、僕たちが生きていたことを」もすごいセリフだなぁと思ったし、最後眠っているねずみさんを見つめる6人の表情が何とも言えず素敵で暖かくて・・・今の「コンボイ」という集団と舞台の役が重なって見えて、何とも言えない気持ちになりました。

今回は63歳になる母親と見に行ったんですけど、途中である昭和のCMメドレーが懐かしくてたまらんかったそうです(笑)あたしは知らないのもいくつかあったけど流石に全部わかったそうです。ちなみに母のお気に入りは黒須さんで、あまりにもダンスの時の手が綺麗で「思わず手ばっかり見てしまった」らしい(笑)この公演は秋にも追加公演っていう形であるみたいなんで、チケットを手に入れられる機会があったら是非。私ももう一回見たいぐらいだ。