「カメレオンズ・リップ」

騙し騙され、とはいっても騙しのプロのお話などでは決してなく、騙しきれない普通の人々のはちゃめちゃで、めちゃくちゃな愛と嘘のお話。

ケラさんの作品だから覚悟はしていたんですが、それでも長いわねー、やっぱり。特に一幕の長さが堪えました。途中で映像に変わった時絶対ここで休憩だろうと思ったのにまだ続くからええ!マジかよ!と声に出しそうになってしまったことは内緒だ。おほほ。展開的にも話の結末的にもケラさんのテイスト満載で、話も読める(というか、読めるように作ってる)んだけど、個人的な好みを言えば、もうひとつ大枠で騙しを入れて欲しかったなという気もしないでもない。でもパンフでのケラさんのコメントみると、それをあえてしない「文系の人たちの騙し」を念頭に物語を書いたようなので、なるほどそれじゃあ大枠の騙しは違うよなと納得しましたが。あと、ラブシーンがかなりまっとうでしかも美しく描かれていて驚いた。いつもなんか結構シュールな愛の言葉だったりするのに、今回綺麗だったなあ。演じる2人もすごく綺麗な人なので、それを意識したのかもしれませんが。

終わったあとあらためて「ほんまに凄いキャストやなあ」と感心しました。ここまで芸達者ばかりを揃えてる舞台って、なんか久しぶりに見た気が。余さん、山崎さんの手慣れた上手さ、生瀬さんの味、犬山さんはデフォとして堤&深津は安定感すら感じるコンビっぷり。深津さんは本当にいい女優さんだねい。最初のお姉さんキャラのステキさにもう釘付け。堤さんは、その冒頭のダメ可愛い弟クンキャラであの3時間突っ走られたら個人的にやばいかも、というぐらいツボでした。あーーーかわいい。たまらんな!堤さんはかっこいいキャラよりカワイイキャラの方が女心を掴むんじゃないか?私だけか。自分のへなちょこ好きを改めて認識したりして。

そういえば深津さんが山崎さんに銃を向けて「撃てって言って」というシーンが「ミスティックリバー」と物凄く似ていて軽くデジャヴ。

その長さもケラさんの作品の味だし意味の無い長さとは思わないんだけど、でももうちょっと短くしてくれたらもっと好きなのにな!とささやかに主張してみたり(笑)。あと座席によってはかなり見切れるシーンの多いセットで、それもちょっと残念だったかな。まあでも、これだけの実力派キャストのバリバリ会話劇を堪能できたのは嬉しかったです。